疲れやすい

犬が疲れやすいのは心臓病のサイン?|心臓病の見逃してはいけない症状とは

「最近、犬がすぐに疲れるようになった気がする」
「散歩の途中ですぐに座り込んでしまう」
そんな様子に気がついたことはありませんか?
犬の疲れやすさは加齢のこともありますが、実は心臓病のサインである場合も少なくありません。

今回の記事では犬の疲れやすさが心臓病とどのように関係しているかを詳しく解説していきます。
犬の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、心臓病のサインを見逃さないようにしましょう。

犬の疲れやすさを感じる場面は?日常の変化チェックリスト

クッションの上で寝ている犬

犬が疲れやすくなっていると感じたことのある飼い主様は多いのではないでしょうか。
犬の様子のちょっとした変化は飼い主様だけが気付ける健康状態のシグナルです。
以下のような犬の疲れやすさのサインを見逃さないようにしましょう。

  • 以前より散歩の距離やスピードが落ちた
  • 遊びたがらなくなった
  • 息切れが目立つようになった
  • ソファやベッドへのジャンプをためらうようになった
  • 階段の上り下りを嫌がるようになった

上記のように犬が疲れやすいと感じることが続く場合、必ずしも年齢のせいだけとは限りません。
特に中高齢の犬で、急にこうした変化が現れた場合は心臓病など内臓疾患の可能性が高まります。

犬が疲れやすいときに考えられる原因

犬が以前より疲れやすいときは重大な病気が隠れていることもあります。
ここでは犬の疲れやすさを引き起こすおもな原因を見ていきましょう。

心臓病

心臓病により、心臓の機能が低下すると全身に十分な酸素を運ぶことができなくなります。
そのため、少しの運動や刺激で息切れなどの疲れやすさが現れます。
犬の心臓病は中高齢犬で多い僧帽弁閉鎖不全症や大型犬に多い拡張型心筋症が代表的です。
心臓病は初期段階では気づきにくいことも多いので、ちょっとした異変を見逃さないようにすることが大切です。

関節炎

関節炎は関節に炎症が起こり、痛みや腫れが生じる病気です。
関節炎の犬は痛みの影響で動きが鈍くなり、運動を嫌がるようになります。
また、関節痛によりぎこちない歩き方をすることもあります。
関節炎は進行性の病気であるため、早期発見と適切な治療が重要です。

内分泌疾患

内分泌疾患によるホルモンバランスの乱れも疲れやすさの原因です。
特に代謝を調節する甲状腺ホルモンの分泌が悪くなる甲状腺機能低下症では疲れやすさが出やすいです。
他にも、糖尿病や副腎の病気も疲れさすさを引き起こすことがあります。

貧血

貧血はさまざまな原因で血液中の赤血球数が減少する状態です。
赤血球は体内で酸素を運ぶ役割をするため、貧血になると体全体が酸素不足になり、疲れやすさが出ます。
貧血は粘膜が白っぽいなどの特徴も合わせて現れることが多いので注意しましょう。

心臓病の疲れやすさ以外に見逃せない症状は?

高齢犬では疲れやすさの原因が心臓病であったということがよく見られます。
心臓病は疲れやすさ以外にも以下のような症状が特徴的です。

  • 咳が増えている
  • 呼吸が早い
  • 舌や歯茎が青紫色になっている
  • ふらつきがある
  • お腹が膨れている

ただし犬の心臓病は、初期の段階ではほとんど症状が出ません。
犬の疲れやすさなどの異変を感じたときには心臓病が進行していることも多いので、すみやかに動物病院を受診しましょう。
犬の心臓病でもっとも多い僧帽弁閉鎖不全症の初期症状は以下の記事でまとめています。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の初期症状を見逃さない!|早期発見のポイントを解説

心臓病の犬は運動させないほうがいい?

散歩中の柴犬

心臓病と診断された愛犬の運動については、多くの飼い主様が悩まれることでしょう。
「運動や散歩は心臓に負担をかけて悪化させてしまうのでは?」
と心配になり、運動を控える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、適切な運動は心臓病の犬にとっても重要です。
すべての運動をやめてしまうと筋力や持久力が低下し、健康寿命を縮めてしまうことがあります。
大切なのは犬の心臓の状態や症状に合わせて、適切な運動量や運動強度を見極めることです。
心臓病の症状が安定している場合、短い時間でゆっくりとした散歩や軽い運動はリフレッシュやストレス発散になり、体調維持にも役立ちます。
一方で、咳や息切れなどが見られる場合は運動は控えましょう。
実際の運動量などは定期的に獣医師の診察を受けながら決めることが重要です。

まとめ

犬の疲れやすさは加齢による変化だけでなく、心臓病などの病気が隠れている場合もあります。
特に心臓病は初期症状がわかりにくく、疲れやすさや息切れなどのささいな変化が重要なサインとなります。
心臓病は早期発見と適切なケアが、犬の健康寿命を守るための第一歩です。

当院では犬の心臓病の治療に力を入れています。
犬が疲れやすいと感じた場合は早めにお問い合わせください。

よくある質問

Q.若い犬でも疲れやすい場合は心臓病の可能性はありますか?

A.若い犬でも疲れやすい場合は心臓病の可能性があります。
心臓病のリスクが高い犬種は若いうちに心臓病を発症することがあります。
若い犬が急に疲れやすくなった場合は、心臓病以外の病気の可能性も考えられますが、念のため動物病院で診察を受けることがおすすめです。

Q.心臓病の犬は睡眠時間が長くなることがありますか?

A.心臓病の犬では体の酸素供給が不十分になるため、疲労感が増し、睡眠時間が伸びる傾向があります。
特に夜間の呼吸困難が生じると、浅い眠りが続くことで昼間も寝ている時間が増えます。
寝ている時の呼吸数(1分間30回以上)や舌の色の変化にも注意しましょう。

Q.犬の疲れやすさと食欲不振は関係がありますか?

A. 心臓病が進行すると、体に余分な水分がたまり食欲不振が出ることがあります。
また、慢性的な疲れやすさにより活動量が落ちると代謝も低下し、食欲に影響する場合もあります。

渋谷区・恵比寿・代官山の動物病院
HALU代官山動物病院

 
 

担当獣医師

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

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