「動物病院で心雑音があると言われた」
「犬が心臓病と診断されたけど、原因はあるの?」
「心臓病を悪化させないためにできることはあるの?」
このようなお悩みをもつ飼い主様は多いのではないでしょうか。
犬の心臓病は加齢性変化が原因であることが多いですが、歯周病が影響することもあります。
実は口腔内の状態は全身の健康と密接に関連しており、特に心臓への影響が大きいことが明らかになってきていますね。
今回は犬の心臓病と歯周病の関係性について詳しく解説いたします。
犬の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、愛犬を心臓病から守りましょう。
犬に多い心臓病とは
心臓には血液の逆流を防ぐための弁が備わっており、この弁が正常に機能しなくなり、血液の逆流が起こる病気を弁膜症と呼びます。
心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁で逆流が起こる状態を僧帽弁閉鎖不全症と呼び、犬でもっとも一般的な心臓病です。
僧帽弁閉鎖不全症は初期段階では症状がほとんどありません。
しかし、咳などの症状が出始めた時には病気がかなり進行していることが多いので要注意です。
犬の僧帽弁閉鎖不全症のおもな原因は加齢や遺伝的要因が一般的ですが、歯周病が影響することもあります。
知っておきたい心臓病になりやすい犬種
犬の僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬で多くみられます。
特に、
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- チワワ
- マルチーズ
- ポメラニアン
などが好発犬種とされています。
これらの犬種を飼われている方は心臓の健康状態に注意を払いましょう。
犬の歯周病とは
犬の歯周病は歯垢(プラーク)に繁殖した細菌が歯茎に炎症を引き起こし、進行すると歯を支える骨を溶かしてしまう病気です。
3歳以上の犬の約80%が歯周病に罹患していると言われているほど、よくみられます。
歯周病は年齢が上がるにつれて有病率も上昇し、体が小さい犬ほど歯周病のリスクが高いことがわかっていますね。
犬の歯周病は初期段階では気がつきにくいですが、
- 口臭が強くなる
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎から出血がある
- よだれが増える
- 口を触られるのを嫌がる
などの症状がみられます。
さらに進行すると歯が抜け落ちることもあるので注意が必要です。
歯周病が心臓病を引き起こすメカニズム
「なぜ、歯周病になると心臓に影響するの?」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
歯周病に罹患している犬は歯周病菌が血液中に入り込みます。
歯周病菌は全身の血流に乗って、心臓にたどり着き、心臓の弁に炎症を引き起こすことがあります。
その結果、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病のリスクが高まる可能性がありますね。
歯周病はこのようにして心臓病につながるので注意しましょう。
犬の心臓を守る歯周病予防
犬の歯周病は毎日の適切なデンタルケアによって予防できる病気です。
犬の健康を守るためには歯磨きを習慣づけて行いましょう。
歯磨きを行うことで歯周病の原因となる歯垢を除去することができます。
犬の歯磨きをする際は以下のポイントを意識することが大切です。
- 犬用の歯ブラシや歯磨き粉を使う
- 歯と歯茎の境目を丁寧に磨く
- 奥歯までしっかり磨く
歯磨きの後はご褒美をあげるなどして、犬が歯磨きを楽しめるようにしましょう。
また、定期的に動物病院で歯科検診を受けることも重要です。
歯周病は進行すると治療が困難になるため、なるべく初期段階で対処する必要があります。
動物病院で歯石や歯茎の状態を確認し、必要に応じて歯のクリーニングを受けることが推奨されます。
見逃してはいけない心臓病のサイン
愛犬の心臓病を早期発見するためには、日頃からの健康状態を観察することが大切です。
以下のような症状が見られる場合は心臓病のサインかもしれません。
- 呼吸が荒い
- 咳をする
- 運動を嫌がる
- 疲れやすい
- 失神する(倒れる)
- 歯茎が青い
心臓病の進行を防ぐには、これらの症状を見逃さないようにし、早めに動物病院を受診しましょう。
また、心臓病のリスクが高い犬は定期的に心エコーなどを行い、心臓の状態をチェックしておくことも大切です。
まとめ
今回は犬の歯周病と心臓病の関係について解説しました。
犬の健康を守るためには、歯と心臓の両面からのアプローチが欠かせません。
どちらも目に見えにくい部分だからこそ、定期的なケアを怠らないよう心掛けましょう。
当院では循環器科の診療に積極的に取り組んでいます。
愛犬の心臓の健康状態が気になる方は気軽にお問い合わせください。
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