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犬の肺高血圧症の症状と治療|咳や呼吸困難に要注意

今回は心臓の病気のお話です。

わんちゃん、ねこちゃんの心臓は4つの部屋に分かれており、その部屋にはそれぞれ太い血管がつながっています。

肺動脈の位置を示したイラスト

そのなかには肺動脈という、血液を右心室から肺へ送る大きな血管があります。

この肺動脈の血管の内圧が高くなってしまう状態を、肺高血圧症」といいます。

肺高血圧症の初期は無症状ですが、重度になると咳が出たり息苦しくなったり、失神することもあります。

肺高血圧症の多くは心臓や呼吸器の病気に伴って起こります。

主な原因は以下のようなものがあります。

肺高血圧症の原因の分類

診断にはレントゲン検査、心臓エコー検査を用います。

レントゲン検査では原因に合わせて心臓や肺などに異常がみられます。

エコー検査では心臓の機能の評価を行いますが、肺高血圧症を起こすと肺動脈圧と共に右心室圧が上昇し、結果として三尖弁逆流が高い確率で発生します。(三尖弁:右心房と右心室の間にある、血液の逆流を防ぐ弁)

三尖弁逆流がある場合には、その逆流速度から肺高血圧症かを判断する事ができ、逆流速度が3.4m/sを超えると肺高血圧症であると診断されます。

治療としては、基本的には原因疾患の治療をしていきます。

その治療に合わせて肺動脈拡張薬を併用していくこともあります。

では実際の症例のご紹介です。

今回来院したのは13歳のミニチュアダックスフンドの女の子です。

「咳が増え、呼吸が苦しそう」とのことで来院されました。

元々僧帽弁閉鎖不全症があり、また肺炎を患った経歴があります。

レントゲン画像です。心臓が拡大し、また肺が白く写っています。

心拡大があり、肺が白くなっている犬のレントゲン画像

エコー検査では三尖弁逆流がみられ、その逆流速度は4.0m/sでした。

エコー検査で認められた三尖弁逆流

このことから肺高血圧症と診断され、肺炎の治療、心臓病の治療の強化、そして肺動脈拡張薬を用い、入院にて治療していきました。

退院時には咳や呼吸不全もなくなり、レントゲン画像でも肺の白さが改善していきました。

肺高血圧症は症状が進行してから気づかれることの多い病態です。

早期に心臓疾患や肺疾患をみつけるのに有効なのは動物病院での定期的な検診と、おうちでの呼吸数のチェックです。

是非おうちでわんちゃん、ねこちゃんの安静時の呼吸回数を測ってみてください。1分間に30回程度であれば問題はありませんが、60回を超えてくるようでしたら心臓や肺に問題がある可能性があります。

呼吸が早い、咳が出る、疲れやすいなどのサインがみられましたら病院へご連絡ください。

よくある質問

Q.肺高血圧症は遺伝しますか?

A.肺高血圧症自体が直接遺伝することは少ないですが、基礎となる心臓病や呼吸器疾患の中には犬種や家系によって遺伝傾向があるものも存在します。
そのため、心臓疾患など家族性の病歴がある場合、定期的な健康チェックを心がけることが重要です。

Q.肺高血圧症の治療後も日常生活で気を付けることはありますか?

A.治療後も再発や悪化を防ぐため、無理な運動を避け、安静を意識した生活を心がけましょう。
また、呼吸数や咳、疲れやすさなどの症状を日常的に観察し、変化があれば早めに動物病院へ相談してください。

Q.猫にも肺高血圧症は起こりますか?

A.犬ほど頻度は高くありませんが、猫でも心臓病や肺疾患が原因で肺高血圧症を発症することがあります。
特に高齢猫や基礎疾患のある猫では注意が必要です。

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担当獣医師

循環器科・内科・軟部外科

横井 (ヨコイ, Yokoi)

動物さんたちの日々の体調管理に助力させていただけたら幸いです。 分からないことや不安に思うことがあれば気兼ねなくご質問ください。

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

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