呼吸が苦しい

知らないと危険な猫の肺水腫とは|肥大型心筋症との関係を解説

今回紹介するのは、猫の『肺水腫』の症例です。

今回の猫ちゃんは食欲不振、呼吸が苦しそうとのことで来院されました。レントゲンを撮影すると、本来空気で満たされ黒く抜けるはずの肺の部分が、白くモヤモヤしているのが分かりました。すぐに肺水腫を疑い緊急治療を施し、この猫ちゃんの呼吸状態を安定させました。

肺水腫とは?

肺水腫は、肺の血管から移動した水分が肺の中に貯留し、正常な呼吸ができなくなる疾患です。聴診やレントゲン、肺のエコー検査での診断が基本となります。

原因としては心疾患に伴って血管の圧力が高まることや、強い炎症性疾患により血管から水分が移動しやすい状態になることが主に挙げられ、気道の閉塞や中枢神経の障害によって起こることもあります。

肺水腫の場合、今回の症例のようにレントゲンで肺野が白く写ります(左)。正常な猫の胸部レントゲン(右)と比較するとその差が分かります。

肺水腫の猫の胸部レントゲン
正常な猫の胸部レントゲン

猫の肺水腫の原因として気のつけなくてはいけない心疾患の一つに、『肥大型心筋症』があげられます。

肥大型心筋症では、心筋が肥大し、心室の容積が狭くなったり心臓が十分に拡張できなくなります。その結果、心臓へ血液を送る静脈にかかる圧力が高くなり、水分が血管の外、つまり肺の中へ移動してしまいます。

また、心筋が肥大し必要な酸素量が増加することも、急性の肺水腫の原因になります。猫の肥大型心筋症は遺伝的な要因と考えられています。

肥大型心筋症の心臓のイラスト

治療

 肺水腫の治療は、利尿薬が基本となります。利尿薬の作用により肺に漏出した水分を尿として排出させ、呼吸状態を安定化させます。また、心筋の収縮を助け、同時に血管を拡張させる強心薬を使用していきます。

肺水腫は動物にとって大変苦しい疾患です。

猫ちゃんの呼吸が苦しそう、最近元気や食欲が落ちているといった気になる症状がある場合、早めのご来院をおすすめします。

よくある質問

Q.猫の肺水腫は予防することができますか? 

A: 肺水腫の完全な予防は困難ですが、定期健康診断での心疾患の早期発見が重要です。
特に肥大型心筋症は遺伝的要因が強いため、血統によってはより注意深い観察が必要です。

Q.肺水腫になりやすい猫の品種や年齢はありますか?

A.メインクーン、ラグドールなどの大型品種は遺伝的に肥大型心筋症になりやすく、肺水腫のリスクが高いとされています。
年齢的には中年期以降(5-7歳頃)から発症しやすくなりますが、若い猫でも発症する可能性があります。

Q.肺水腫が再発することはありますか?

A.肺水腫は基礎疾患が残っている限り、再発する可能性があります。
特に心疾患が原因の場合、再び水分が肺にたまるリスクが高まります。
再発予防のためには、獣医師の指示に従い、内服薬や定期検査を継続することが大切です。

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担当獣医師

循環器科・内科・軟部外科

横井 (ヨコイ, Yokoi)

動物さんたちの日々の体調管理に助力させていただけたら幸いです。 分からないことや不安に思うことがあれば気兼ねなくご質問ください。

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

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