「愛犬が心臓病と言われ、ピモベンダンという薬をもらったけど、どのような薬なの?」
このような疑問をお持ちの犬の飼い主様もいるのではないでしょうか。
ピモベンダンは犬に多い僧帽弁閉鎖不全症でもっとも多く使われる治療薬です。
適切なタイミングでピモベンダンの投与を開始することで僧帽弁閉鎖不全症の犬の寿命を延長することができます
今回は僧帽弁閉鎖不全症の治療薬であるピモベンダンについて詳しく解説していきます。
特に心臓病の犬を飼われている方は、ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の治療にお役立てください。
僧帽弁閉鎖不全症ってどんな病気?
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。
心臓には血液が逆流しないように4つの弁が存在します。
その中で心臓の左心房と左心室の間にある弁が僧帽弁です。
僧帽弁閉鎖不全症とは、この僧帽弁がうまく閉まらなくなることで、心臓内で血液が逆流してしまう病気です。
特にチワワやキャバリアなどに多く見られ、7歳以上の高齢の小型犬種では約30%が僧帽弁閉鎖不全症に罹患していると言われていますね。
僧帽弁で血液の逆流が起こると、心臓内に血液が滞り、特に左心房に過剰な負荷がかかることで心臓が大きくなってきます。
心臓が大きくなると、心臓付近の気管を圧迫し、咳などの症状が現れるようになります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療薬であるピモベンダンとは?
犬の僧帽弁閉鎖不全症でよく使われる治療薬の一つがピモベンダンという薬です。
愛犬が僧帽弁閉鎖不全症と診断されている飼い主様はすでにご存じの方も多いのではないでしょうか?
ピモベンダンは強心剤であり、心臓の筋肉の収縮力を高めることで血液を全身に送る効果があります。
また血管を拡げる作用もあり、心臓の負担を軽減することが可能です。
血管が広がることで、心臓がより少ない労力で血液を送り出せるようになります。
ピモベンダンを投与することで僧帽弁閉鎖不全症の症状を軽減したり、進行を遅らせ、犬の寿命を伸ばす効果が期待できます。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は早期に発見し、なるべく早く治療を開始することが大切です。
ピモベンダンの適応は?
僧帽弁閉鎖不全症においてピモベンダンの投薬を開始するタイミングは心臓の拡大がみられた時です。
僧帽弁閉鎖不全症と診断されても心臓の拡大がなければ、基本的にはピモベンダンを投与する必要はないとされています。
しかし、僧帽弁閉鎖不全症は少しずつ進行してくることが多いので、心臓が拡大してきたタイミングを逃さずにピモベンダンの投与を開始することが重要です。
ピモベンダンの投与タイミングを見極めるためには定期的に動物病院で心臓の状態をチェックしましょう。
動物病院でレントゲン検査やエコー検査を行い、ピモベンダンを適切なタイミングで開始することで、心不全を発症するまでの期間が平均15ヶ月延長されることが報告されています。
ピモベンダンの副作用
ピモベンダンは比較的安全性の高い薬ですが、副作用がまったくないわけではありません。
まれに下痢や嘔吐などの消化器系のトラブルが現れることがあります。
しかし、これらの症状は通常、軽度で一時的なもののことが多いです。
また、頻脈や不整脈などの心臓の問題が出ることもあります。
ピモベンダンは通常安全な薬とされていますが、使用中は定期的な診察を受け、副作用が発生した場合は獣医師に相談して適切な対処を行うことが重要です。
ピモベンダンは増量するケースもある?
ピモベンダンの投与量は個々の犬ごとに異なり、病状の進行や症状に応じて調整が必要です。
以下のようなケースで増量が検討されることがあります。
- 症状が進行している場合:初期の投与量で効果が不十分で、咳や呼吸困難が出ている際はピモベンダンを増量することがあります。
- 体重が変化している場合:犬の体重に変化があった場合は適正体重に合わせて投与量を調節します。
ピモベンダンの増量は副作用のリスクも高める可能性があるため、必ず獣医師の指示に従って下さい。
こまめに心臓の状態を評価し、慎重にピモベンダンを増量することが大切です。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症は早期発見と適切な治療により、犬の寿命と生活の質を大きく改善できる病気です。
ピモベンダンは僧帽弁閉鎖不全症の治療において中心的な役割を果たす薬剤であり、適切な時期に投与を開始することで、病気の進行を遅らせ、より良い予後が期待できます。
当院では循環器科の診療に力を入れています。
日頃から愛犬の健康状態に気を配り、少しでも異変を感じたら、早めに当院までご相談ください。
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