今ではペットの寿命がのび、年齢を重ねていくにつれて様々な病気にかかります。特に心臓病は多く、中年齢以降の犬では僧帽弁閉鎖不全と呼ばれる心臓の病気にかかることがあります。
動物の心臓は大きく右心と左心の2つに分かれており、それぞれがさらに2つの部屋(心房と心室)に分かれているため合計4つの部屋が存在します。心房と心室の間には血液の逆流を防ぐための弁が存在し、左心にある弁を僧帽弁、右心にある弁を三尖弁と呼びます。この左心にある僧帽弁の形が変化したり、弁を支えている腱索が切れてしまったりすることで、弁がしっかり閉じなくなり、心臓の中で血液の逆流が生じることがあります。これを僧帽弁閉鎖不全といいます。逆流が重度になると、心臓内の圧力が上昇し、心臓が膨らんでいきます。心臓が膨らみすぎて、圧力に耐えられなくなると肺につながる血管も腫れていき、肺水腫と呼ばれる状態になり、とても危険です。
また、まれではありますが、この僧帽弁閉鎖不全の合併症として、既述の肺水腫以外に左房破裂と呼ばれるものがあります。文字通り左心房が圧力に負けて破裂してしまうことです。左房破裂が起こると心臓と心臓を包む膜の間に血液が充満し(=心嚢水貯留、心タンポナーデ)、心臓性ショックや急死を起こしてしまいます。ワンちゃんの突然死の原因の一つです。
以前私たちも何例かこの病気を経験しました。ほとんどの症例で、心肺停止、虚脱で来院されます。この場合、迅速な処置が必要となります。
来院時のレントゲン(心嚢水貯留が貯留し拡大した心臓)
真ん中の心臓が巨大化して、周りの黒い部分の肺がほとんど移っておりません。わんちゃんは呼吸が苦しい状態です。
入院、処置後のレントゲン(心臓が小さくなり、黒く抜ける肺が見えてきました)
この子は入院治療1週間で無事退院しました。左房破裂に対する治療は様々です。外科的な処置が必要な場合もありますし、致死率の高い病気です。
このような状態になる前に定期的な心臓健診が大切になります。
僧帽弁閉鎖不全は日々の健診で心音の聴診をすることで発見することができますので、定期検診をしっかり行なっていきましょう。
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