口が痛い

犬の歯が抜けたときの原因と対処法|動物病院を受診すべき目安を獣医師が解説

犬の歯が抜けたのを発見した経験はありませんか?
犬の歯が抜ける理由は、年齢などによって大きく異なります。
子犬の乳歯が抜けるのは正常な生え変わりであり、心配ないケースがほとんどです。
一方で、成犬の歯が抜けた場合は、歯周病や腫瘍といった病気が隠れていることも少なくありません。

この記事では、犬の歯が抜ける原因や動物病院に行くべきタイミングをわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の歯を守るための参考にしていただけると幸いです。

子犬の歯が抜けたのは乳歯から永久歯への生え変わり

犬の歯が抜けたとき、飼い主様に最初に確認していただきたいのは抜けた歯が乳歯か永久歯かという点です。
生後4〜7か月頃の子犬の歯が抜けた場合、その多くは乳歯から永久歯への生え変わりであり、成長に伴う自然な変化です。
子犬は、抜けた乳歯を飲み込んでしまうこともあり、生え変わりに気づかないことも少なくありません。

子犬の時期に注意したいのが、乳歯遺残(にゅうしいざん)という状態です。
乳歯遺残とは、永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けずに残ってしまうことです。
乳歯遺残では、永久歯と乳歯のすき間に汚れがたまり、若いうちから歯周病になりやすくなります。
永久歯が生えてきているのに乳歯が残っているときは、動物病院に相談しましょう。

成犬の歯が抜けたときに考えられる原因

乳歯が成長過程で抜け落ちるのは問題ありませんが、永久歯は本来抜けることがありません。
成犬やシニア犬の歯が抜けた場合、もっとも多い原因は歯周病です。
歯周病とは、歯垢(しこう)にすむ細菌が、歯ぐきや歯を支える骨を少しずつ壊していく病気です。
3歳以上の犬の約8割が歯周病にかかっているといわれています。
歯周病は、次のような流れで進行していくことが多いです。

  1. 歯の表面に歯垢や歯石がつく
  2. 歯ぐきが赤く腫れる
  3. 歯を支えている骨が溶けはじめる
  4. 歯がぐらぐらになり、抜け落ちる

このように、歯が抜けるのは歯周病がかなり進んだ段階です。
犬の歯周病に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。

歯周病のほかに、外傷や腫瘍が原因で犬の歯が抜けることもあります。
外傷は、硬いおもちゃや骨をかじって歯が折れるケースや、事故や落下で歯が抜けるケースが挙げられます。

さらに、見落とされやすいのが口の中の腫瘍です。
犬の口の中には、メラノーマや扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)などの悪性腫瘍ができることがあります。
これらの腫瘍はあごの骨を溶かしながら大きくなるため、歯がぐらついて抜けてしまうことも少なくありません。
歯ぐきにしこりや黒っぽいふくらみがある場合は腫瘍の可能性もあるため、早めに動物病院で原因を調べることが大切です。

犬の歯が抜けたら動物病院を受診すべき?

飼い主の手からおやつをもらうチワワ

子犬の乳歯が抜けた場合は、基本的に動物病院を受診する必要はありません。
ただし、乳歯が抜けたときでも、出血が続く、強く痛がるなどの症状が続く場合は動物病院に相談しましょう。
抜けた歯が乳歯か永久歯かわからないときも獣医師に確認してもらうと安心です。

犬の永久歯が抜けた場合は、元気でも早めに動物病院を受診しましょう。
犬は口に痛みがあっても、ごはんを食べ続けることがあり、飼い主様が気づいたときには病気が進んでいることが少なくありません。
特に、次のようなサインがある場合は早めの受診をおすすめします。

  • 口臭が強くなる
  • 歯ぐきから血や膿が出ている
  • 歯ぐきにしこりや黒っぽいふくらみがある
  • ごはんをこぼす、片側だけで噛む
  • 目の下や頬が腫れている
  • 片側の鼻から鼻水が出る

これらのサインは、口の中のトラブルが、歯ぐきの奥やあごの骨にまで広がっている可能性を示すものです。
愛犬に1つでも当てはまる症状があれば早めの受診が欠かせません。

犬の歯が抜けるのを防ぐためにできること

おもちゃを噛んで遊ぶ柴犬

犬の歯を守るためにもっとも効果的なのは、毎日の歯みがきです。
歯垢は、歯石に変わる前であれば歯ブラシで落とせます。
しかし、一度硬い歯石になってしまうと、歯ブラシでは取り除けません。
犬の歯垢は2〜3日ほどで歯石に変わるため、できれば毎日、少なくとも2〜3日に1回は歯みがきを行うのが理想的です。

歯みがきに慣れていない犬には、次のように少しずつ段階を踏んで慣らしていくのがコツです。

  1. 口元を触られることに慣れさせる
  2. 指で歯や歯ぐきに触れる
  3. ガーゼや歯みがきシートで歯を拭く
  4. 犬用の歯ブラシで磨く

犬が嫌がるときは無理をせず、前の段階に戻ることも大切です。
デンタルガムやおもちゃは歯みがきの補助として役立ちますが、それだけで歯垢を十分に落とすことはできません。
また、硬すぎるおもちゃや骨は歯が折れる原因になるため、与えるものを選ぶ際には注意が必要です。

犬の歯磨きの方法については以下の記事もチェックしてみてください。
犬が歯磨きを嫌がる原因は?|歯磨きを無理なく慣れさせる方法を獣医師が解説

まとめ

犬の歯が抜けた原因は、抜けた歯が乳歯か永久歯かによって大きく異なります。
生後4〜7か月頃の子犬であれば、歯が抜けるのは成長による自然な生え変わりのことが多いです。
一方、永久歯が抜けた場合は、歯周病などの病気が原因となっていることがあります。
犬の歯が抜けた場合は早めに動物病院を受診しましょう。

当院では、歯科検診や歯みがき指導も行っております。
愛犬の歯や口のにおいなど、気になることがあればお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q.犬の歯が抜けた後も、いつものフードを食べられますか?

A.歯が抜けても、口の中の痛みや炎症が落ち着けば、普段のフードを食べられる犬は多くいます。
ただし、抜けた直後は傷口への刺激を避けるため、ドライフードをふやかすなどの工夫が必要な場合があります。
食べやすさは残っている歯や口の状態によって異なるため、フードの硬さや大きさは獣医師に相談して調整しましょう。

Q.犬の永久歯が抜けたら、もう一度生えてきますか?

A.犬の永久歯は、一度抜けると再び生えてくることはありません。
乳歯から永久歯への生え変わりとは異なり、成犬の歯が抜けた場合は、新しい歯が生えるのを待っても元には戻りません。
歯が抜けるのを防ぐには、抜けた原因を調べ、残っている歯の状態も確認することが大切です。
受診後は、獣医師の指導に沿って口のケアを続けましょう。

Q.犬の歯が抜けたように見えても、歯の根が残っていることはありますか?

A .歯が根元で折れると、見えていた部分だけが取れ、歯ぐきの中に根が残ることがあります。
飼い主様が見た目だけで、歯が完全に抜けたかどうかを判断するのは困難です。
残った根が痛みや感染の原因になる場合もあるため、動物病院で確認しましょう。
必要に応じてレントゲン検査を行い、根の状態や治療の必要性を判断します。

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HALU代官山動物病院

 
 

担当獣医師

内科・軟部外科・歯科

高澤 (タカサワ, Takasawa)

犬ちゃん、猫ちゃんの声なき声を理解し、ライフスタイルに合わせて治療を飼い主様と選択する事を大切にしています。 HALU動物病院の来られる方々の快適な生活と健康のお手伝いができるよう診療していきます。

内科・画像診断科・歯科

岩木 (イワキ, Iwaki)

English Speaking Veterinarian
多くの選択肢をわかりやすくオーナー様に提供でき、大切な家族の一員である子たちにとって最適な治療計画を一緒に見つけられる存在であるために、寄り添える獣医師を目指しています。

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