愛犬に顔を近づけたとき、口臭が気になったことはありませんか?
犬の口臭がひどい場合、食べ物のにおいだけでなく、何らかの病気が隠れている可能性があります。
口臭の原因になる病気には命にかかわるものもあり、口臭が早期発見の手がかりとなることも少なくありません。
本記事では、犬の口臭がひどくなる原因について獣医師がわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の口の健康を守るための参考にしてみてください。
犬の口臭がひどいときに考えられる原因

犬の口臭がひどくなる原因は、口の中の病気と内臓の病気の2つに分けられます。
ここからは、代表的な5つの病気を詳しくみていきましょう。
歯周病
歯周病は、犬の口臭がひどくなる原因のなかでもっとも多い病気です。
歯周病とは、歯と歯ぐきのすき間で細菌が増え、歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起こる病気のことを指します。
歯周病の原因となる細菌は、においの強いガスを作り出すため、犬の口から生ゴミのような腐敗臭がすることがあります。
犬の歯に付いた汚れ(歯垢)は、わずか2〜3日ほどで硬い歯石に変わってしまうのが特徴です。
歯石はザラザラしているため、さらに汚れがつきやすくなるため注意しましょう。
特にトイプードルやチワワなどの小型犬は、歯周病になりやすい傾向があります。
犬の歯の茶色い汚れや歯ぐきの赤みに気づいたら、歯周病を疑いましょう。
口腔内腫瘍
口腔内腫瘍とは、口の中にできる腫瘍のことです。
犬では、メラノーマ(悪性黒色腫)などの悪性腫瘍がよく見られます。
腫瘍が大きくなると、感染や出血の原因となり、血のにおいや腐ったようなにおいが出てきます。
口臭のほかに、歯ぐきや舌のしこり、血の混じったよだれなどの症状も腫瘍のサインです。悪性の腫瘍は進行が早く、あごの骨や肺に転移することも少なくありません。
口腔内腫瘍は見た目が歯周病と似ている場合もあるため、口の中に見慣れない腫れや黒い斑点を見つけたら、早めに動物病院を受診することが大切です。
腎臓病
腎臓は、血液の中の老廃物を尿として体の外に出す臓器です。
腎臓病になると、腎臓の働きが弱まり、老廃物が体の中にたまっていきます。
たまった老廃物の一部はアンモニアに変わり、犬の口からツンとしたにおいがするようになります。
腎臓病の犬では、水をたくさん飲む、尿の量が増えるなどの症状もよく見られるのが特徴です。
慢性腎臓病は7歳以上のシニア犬に多い病気ですが、初期にはほとんど症状が出ません。
腎臓病は定期的な血液検査や尿検査で早期発見を意識することが重要です。
糖尿病
糖尿病は、血液の中の糖をうまくエネルギーに変えられなくなる病気です。
体はエネルギーが足りなくなると、糖の代わりに脂肪を分解してエネルギーを作ろうとします。
糖尿病では、脂肪を分解するときにできる「ケトン体」という物質によって、犬の口から甘酸っぱいにおいがすることがあります。
口臭以外にも、水をたくさん飲む、よく食べるのに痩せるといった変化も、糖尿病の代表的なサインです。
糖尿病が進行すると、ケトン体が体の中に蓄積し、命にかかわる状態になることもあります。
口臭のほかにも、犬の飲水量が増えたと感じたら、すぐに動物病院を受診してください。
消化器疾患
胃腸炎などで胃や腸の働きが悪くなると、犬の口から発酵したようなにおいや、便のようなにおいがすることがあります。
また、おもちゃなどの異物を飲み込み、腸閉塞を起こしたときも同じようなにおいが出る場合は少なくありません。
消化器疾患の犬では、吐く、下痢をするといった症状がよく見られます。
特に腸閉塞は急に状態が悪くなるおそれがあるため、注意が必要です。
口臭がひどい犬に見られる要注意サイン
犬の口臭がひどいときは、口臭以外の症状もあわせてチェックすることが大切です。
次のような症状が1つでもあれば、口の中で病気が進んでいる可能性があります。
- 歯に茶色や黄色の歯石が付いている
- 歯ぐきが赤く腫れている、または出血している
- よだれが増える
- 片側の歯だけで噛む、硬いものを嫌がる
- 目の下や頬が腫れている
- くしゃみや鼻水が続いている
たとえば、歯の根元に膿がたまると、目の下が腫れたり、皮膚に穴が開いたりすることがあります。
また、上あごの歯周病による炎症が鼻まで広がると、くしゃみや鼻水の原因にもなるため注意が必要です。
飼い主様は愛犬の様子をよく観察し、当てはまる症状があれば早めに動物病院へ相談しましょう。
口臭がひどいまま放置するとどうなる?
犬の口臭がひどい状態を放置すると、口の中だけでなく全身の健康に悪影響が出ます。
たとえば、歯周病を放置すると、歯周病菌が歯ぐきの血管から血液に入り、心臓や腎臓などに負担をかけるおそれがあります。
小型犬はあごの骨が細いため、歯周病で骨が溶けると、ちょっとした衝撃であごの骨が折れてしまうことも珍しくありません。
口腔内腫瘍は発見が遅れるほど腫瘍が大きくなり、あごの骨や肺に転移する危険が高まります。
腫瘍が広がると手術で取り切ることが難しくなり、治療の選択肢も限られてしまうことも少なくありません。
腎臓病や糖尿病では、食欲がなくなる、ひどく痩せるなど、犬の生活の質が大きく下がってしまうことも多いです。
犬の口臭は
「年のせい」
と見過ごさないことが大切です。
愛犬の口臭がいつもより強いと感じたら、そのままにせず、早めに動物病院で原因を調べてもらいましょう。
犬のひどい口臭を改善するために動物病院でできること

犬のひどい口臭を改善するには、においの原因となっている病気を治療することが大切です。
動物病院では、口の中の詳しい確認だけでなく、全身の病気が疑われる場合には、血液検査や尿検査などが行われることもあります。
歯周病が疑われる場合、全身麻酔をかけて歯石除去が行われます。
歯石除去を行う際は、レントゲンで歯の根元や周りの骨を確認し、歯の表面だけでなく、歯ぐきの内側の歯垢や歯石も除去することが重要です。
また、歯を支える骨が大きく失われ、歯を残すことが難しい場合には、抜歯が検討されます。
麻酔への不安がある場合は、事前に獣医師とよく相談しましょう。
口臭の改善には、原因に合った処置を行うことが大切です。
まとめ
犬の口臭がひどいときは、さまざまな病気が隠れている可能性があります。
なかでも歯周病はもっとも多い原因で、放置するとあごの骨折や全身の病気につながるおそれもあります。
犬の口臭に気づいたら、放置せず早めに対応することが大切です。
当院では犬の歯科診療に力を入れており、口臭のお悩みにも丁寧に対応しています。
愛犬の口臭が気になる飼い主様は、どうぞお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.子犬の口臭がひどい場合も、動物病院を受診したほうがよいですか?
A.子犬でも、ひどい口臭が続く場合は受診をおすすめします。
永久歯が生えても乳歯が残っていると、歯の間に食べかすや歯垢がたまりやすくなります。残った乳歯は抜歯が必要になることもあるため、獣医師に相談してください。
Q.毎日歯磨きをしているのに犬の口臭がひどいのは、なぜですか?
A.毎日歯磨きをしていても、磨き残しや歯ぐきの内側の汚れによって、口臭が続くことがあります。
また、すでに付いている硬い歯石は、歯磨きだけでは取り除けません。
歯磨きは予防に役立ちますが、進行した歯周病を治すことはできないため、口臭が続く場合は動物病院で診察を受けましょう。
Q.犬のひどい口臭に、人用の歯磨き粉を使ってもよいですか?
A.犬の口臭対策に、人用の歯磨き粉を使うのは避けてください。
人用の製品には、犬に有害な成分が含まれていることがあります。
歯磨き粉を使用する際は犬用のケア用品を選びましょう。
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