犬も人と同様に高齢になるにつれてさまざまな病気のリスクが高まります。
中でも心臓病は高齢の小型犬に多く、発症に気づきにくい一方で、日常生活や寿命に大きな影響を及ぼす疾患です。
犬が心臓病と診断された飼い主様は
「心臓病の犬は長生きできるの?」
と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では犬の心臓病は長生きできるかについて分かりやすく解説します。
心臓病の犬を飼われている方はぜひ最後までお読みいただき、愛犬との生活の参考にしてみてください。
犬の心臓病とは?長生きのために知っておくべきこと

犬の心臓病は心臓の構造や機能に異常が生じる疾患です。
犬の心臓病では僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症がよくみられますね。
僧帽弁閉鎖不全症は心臓の弁がうまく閉じなくなることで血液が逆流し、心臓に負担がかかる病気です。
一方、拡張型心筋症は心筋が薄く伸び、ポンプ機能が低下する病気で、大型犬に多い傾向があります。
心臓病の多くは初期段階では無症状なことが多く、気づかないうちに進行してしまうので注意が必要です。
しかし、定期検診やちょっとした変化に気づくことで早い段階で異常を発見できれば、治療によって寿命を大きく伸ばせるケースも多く存在します。
犬が心臓病と診断されても、決して悲観する必要はありません。
正しい知識と早めの対応が犬の長生きに直結するポイントです。
心臓病でも長生きするには早期発見がカギ
犬の心臓病は適切な管理と治療を行えば、診断されてからも長生きすることは十分可能です。
心臓病の犬の長生きの最大のカギは早期発見です。
以下のような症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
- 咳が出る
- 疲れやすくなった
- 呼吸が早い、苦しそう
- 倒れる
これらの症状は心臓病以外の病気でも見られることがありますが、いずれにしても注意が必要なサインです。
また、健康診断を受診し、症状が出る前に心臓病を見つけることも重要です。
特に7歳を過ぎたシニア犬は症状がなくても半年に1回程度の定期的な健康診断を受けることをおすすめします。
心臓病の犬は薬を飲めば長生きできる?
犬の心臓病に対するおもな治療は薬物療法です。
適切な薬物療法により、心臓病の犬の生存期間は大幅に改善されることが報告されています。
特に僧帽弁閉鎖不全症では強心剤を使用することで心不全を発症するまでの期間が平均15ヶ月延長されると言われています。
心臓病の犬では強心剤だけでなく、血管拡張薬や利尿剤を併用することも多いです。
ただし、心臓病の進行を完全に止めることは難しく、薬の効果には個体差があります。
また、薬を飲み始めた後も、定期的な診察や検査で症状の変化を早期に察知し、薬の量や種類を調整し続けることが重要です。
薬をきちんと続けることは犬の寿命を延ばす大きな力になりますが、日々の生活管理や飼い主様のサポートが加わると、治療効果は最大限に発揮されます。
強心剤や利尿剤に関しては以下の記事で詳しくまとめているのでチェックしてみてください。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の薬による治療|ピモベンダンについて獣医師が解説
犬の心臓病治療で使う利尿剤ってどんな薬?|心臓病治療における利尿剤の役割を解説
心臓病の犬と長生きするための生活習慣

心臓病の犬の長生きのためには、動物病院での治療と並行して、家庭での日常生活のケアが非常に重要です。
ここでは心臓病の犬との生活で意識したいポイントをご紹介します。
食事管理
心臓病のケアで大切なのが塩分(ナトリウム)制限です。
塩分を摂りすぎると、体内に水分が溜まりやすくなり、血圧が上昇して心臓に大きな負担をかけます。
心臓病用の療法食はナトリウムが厳密に調整されているほか、心臓の働きをサポートするタウリンやL-カルニチンなどが強化されています。
犬が心臓病と診断されたら獣医師と相談の上、適切な療法食に切り替えることを検討しましょう。
運動制限
心臓病の犬は心拍数や血圧が急上昇するような激しい運動は心臓の負担となるため避けましょう。
ドッグランでの全力疾走、他の犬との激しいじゃれ合いなどは控える必要があります。
ただし、まったく運動しないのも筋力低下やストレスにつながります。
平坦な道をゆっくり、犬のペースに合わせて散歩を楽しむ程度が理想的です。
ストレス管理と環境整備
心臓病の犬は過度に興奮すると、心臓に負担がかかります。
来客や大きな物音など、犬が興奮しやすい状況はなるべく避けて、穏やかに過ごせる静かな環境を整えてあげましょう。
トリミングやペットホテルなども大きなストレスになる可能性があります。
心臓病であることを事前に伝え、なるべく短時間で済ませてもらうなどの配慮を依頼しましょう。
毎日の健康チェック
心臓病の犬の体調管理でもっとも重要なのが「安静時呼吸数」の測定です。
犬が眠っているときや、静かにくつろいでいるときに胸の上下動を1分間数えます。
犬の安静時呼吸数は1分間に30回以下が正常の目安です。
もし40回を超えるような状態が続く場合は、心不全の初期症状の可能性があるので、すぐに動物病院に連絡しましょう。
まとめ
犬の心臓病は完治が難しい病気ではありますが、決して長生きできない病気ではありません。
早期に適切な治療を行い、ご家庭での食事や生活環境を整えることで、病気の進行を遅らせることは十分に可能です。
大切なのは病気と上手に付き合っていくという視点です。
安静時呼吸数のチェックなど、日々の観察を習慣にし、不安なことがあればいつでも当院にご相談ください。
飼い主様と獣医師がチームとなって、愛犬が穏やかで幸せな毎日を一日でも長く送れるよう、一緒にサポートしていきましょう。
よくある質問
Q.心臓病の犬の寿命はどれくらい延びる可能性がありますか?
A.病気の進行度や治療内容によりますが、早期発見や適切な薬物療法で数年以上寿命が延びる例も少なくありません。
継続したケアにより、長く元気に過ごせることが多いです。
Q.犬が心臓病と診断されました。長生きのために、歯石除去などの麻酔が必要な処置は受けられますか?
A.心臓病の犬にとって麻酔はリスクを伴いますが、不可能ではありません。
重度の歯周病は口内の細菌が心臓に悪影響を及ぼすため、かえって病状を悪化させる可能性があります。
心臓病の進行度や全身状態を精密検査で評価し、麻酔薬の種類や管理方法を工夫することで安全に処置できる場合も多いです。
Q.心臓病用の療法食をなかなか食べてくれません。手作り食でも長生きを目指せますか?
A.療法食が理想ですが、食べない場合は手作り食で対応することも選択肢です。
ただし、必ず獣医師に相談し、適切な栄養バランスのレシピ指導を受けてください。
