まぶたが腫れている

犬の流涙症の原因|春になると涙やけが増えるのはアレルギー?

犬の涙やけの相談はふだんから多い症状の1つですが、特にこの時期、例えばお散歩の後に涙が多い、という相談が増える印象です。

涙が増える原因は様々ですが、特定の季節やタイミングで増えるようであれば、アレルギー疾患が疑われます。

また、涙と一緒に眼脂(目やに)が増える場合もあります。粘り気のある、グレーや白色の眼脂は結膜の炎症のサインです。

<検査での特徴的な所見>

スリットランプという検査機器で目の中の構造を拡大して観察していきます。

このような流涙(涙が目からこぼれている状態)が見られる症例では、とくに結膜や瞬膜の状態に注意して確認していきます。

特に瞬膜にこのような、濾胞状の構造物が確認されることがあります。外から見ただけでは分からず、瞬膜を突出させたうえでスリットランプで観察していきます。

これは慢性的にアレルゲン物質の刺激を受けていることが原因となります。

このような瞬膜・結膜炎があると目の違和感のため涙液量が増えてきます。また、炎症により涙の成分であるムチンの量が増えるため、上述したように眼脂が増えます。

<治療>

症状が強い場合は、結膜・瞬膜の炎症を抑えるためにステロイド点眼を使います。一方でステロイド点眼の長期使用は眼に有害となることもありますので、症状が軽い場合やステロイド点眼により良化した後は、眼に入ったアレルゲン物質を物理的に洗い流す「洗眼」が有効です。洗眼用の点眼液がありますので、副作用なく日常的に使用することができます。

結膜・瞬膜に存在する濾胞をなくすにはとても時間がかかります。診察では、濾胞や炎症の有無を確認しますが、治療のゴールは検査上の所見よりも、動物が違和感を感じずに日常生活が送れることになります。

<そのほかの涙が増える目の病気>

涙が増えている状態というのは

①涙が作られる量が増えている
②涙が正常に排出されていない
③涙が目の表面にとどまれない

のどれかの状態です。

様々な疾患で眼に痛みが生じると①涙が作られる量が増えます。今回お伝えした瞬膜結膜炎も、眼の違和感によって涙の産生量が増えています。

涙点や鼻涙管に問題があると②涙が正常に排出できなくなります。

また、眼瞼の構造や睫毛の生え方に異常があったり、涙の成分の分泌が正常に行われなかったりすると③涙が眼の表面にとどまれなくなり、こぼれる量が増えます。

<まとめ>

一般的に、眼のみのアレルギー症状であれば、原因は環境中の物質、つまり花粉や排気ガスの成分などが疑われます。このような物質は食事とは違い、完全に除去することが難しいため、上記のように動物が眼の違和感なく生活できるよう治療していきます。

涙や眼脂が増える原因は他にもたくさんあります。原因疾患によって治療は異なりますので、気になる症状がある場合は早めにHALU動物病院にご相談ください。

よくある質問

Q.涙やけは犬の健康にどの程度影響しますか?

A. 涙やけ自体は見た目の問題がおもですが、原因によっては目の違和感やかゆみなど不快な症状を伴うこともあります。
そのまま放置すると、皮膚炎や細菌感染を引き起こすこともあるため注意しましょう。

Q.涙やけの原因として、ドッグフードなどの食べ物は関係ありますか?

A.はい、関係する場合があります。
特定の食材に対する食物アレルギーによって、体全体の免疫反応の一つとして涙の量が増えたり、涙の成分が変化したりすることで涙やけが悪化することがあります。
食事の変更だけで改善しない場合は他の原因が隠れている可能性が高いため、自己判断で食事を変え続けるのではなく、一度獣医師にご相談ください。

Q.涙やけを予防するにはどうしたらよいですか?

A.涙やけを予防するには、目元を清潔に保つことが基本です。
こまめに濡れたコットンなどで目の周りを拭くほか、刺激の少ない洗眼液の使用も有効です。

獣医師監修

 
 

担当獣医師

内科・眼科

宮本 (ミヤモト, Miyamoto)

English Speaking Veterinarian
動物たちからたくさんのことを感じ取り、からだへの負担をできる限り少なくすること、ご家族さまとのコミュニケーションの中で治療方針をご一緒に考えていくことを大切にしています。

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