呼吸が苦しい

犬の心臓病に水分制限は必要?|正しい水分管理の考え方を獣医師が解説

「うちの犬は心臓病だから、お水を控えたほうがいいのかな」
そんな不安を抱えている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
心臓病の犬では、体内の水分量が増えると心臓への負担が大きくなることもあります。
しかし、心臓病であっても基本的に飲水制限は必要ありません。

今回は、獣医師の立場から犬の心臓病の水分管理の考え方をお伝えします。
心臓病の犬の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、今後の生活の参考にしていただけると幸いです。

心臓病の犬は水分制限が必要?

給水器から水を飲むトイプードル

心臓病の犬でも基本的には水分制限は必要ありません。
犬の体は、飲んだ水の量に応じて腎臓が尿量を調整し、体内の水分バランスを自然に保つ仕組みを備えているためです。
飼い主様が自己判断で飲水量を減らしてしまうと、必要な水分を確保できなくなり、脱水症状を招く可能性があるため注意しましょう。

特に心臓病の治療で利尿剤を服用している犬は、薬の作用で体から水分が多く排出されるため、普段よりも喉が渇きやすい状態です。
この状況で飲水を制限してしまうと、血液の循環が悪化したり、腎臓に過度な負担がかかったりする危険性も否定できません。
心臓病の犬に対して水分制限を行うことは、病状が悪化する可能性がある点を理解しておきましょう。

心臓病の犬で例外的な水分制限が必要になるケースとは

心臓病の犬でも、すべての場面で水分制限が不要というわけではありません。
心臓病が進行した犬に対して、獣医師が全身状態を総合的に判断し、一時的に水分管理や制限が行われるケースも存在します。

たとえば、犬の心臓病が重度に進行すると、心臓のポンプ機能が大きく低下し、肺に水分がたまる「肺水腫」という危険な状態に陥ることがあります。
肺水腫になると呼吸困難に陥り、放置すれば命に関わることも少なくありません。
このような場面では獣医師の判断のもとで、一時的な水分制限が行われることもあります。
水分制限を行う場合でも、犬の

  • 体重
  • 併発している病気
  • 服用中の薬

によって、適切な水分量は異なります。
心臓病の犬で水分制限を行う際は、必ず獣医師の指示に従うようにしましょう。

心臓病の犬のためにできる日常のケアとは

水を飲むラブラドールレトリバー

水分制限が原則不要となると、
「飼い主として何をしてあげればいいの?」
と感じる方もいらっしゃるかと思います。
心臓病の犬の生活の質を守るために、飼い主様が日常の中で意識できるポイントはいくつもあります。

まず大切なのは、毎日の食事における塩分の管理です。
塩分を多く含む食事は犬の体は水分を体内にためこみやすくなり、心臓への負担が増加します。
人間の食べ物やおやつの中には、塩分を多く含むものもあるため注意しましょう。
心臓病と診断された犬では、獣医師が推奨する心臓用の療法食を選ぶことが効果的な対策の一つです。

体重管理も心臓を守るうえで欠かせない要素となります。
肥満は心臓に負荷をかけるため、適正体重を維持するための食事量の調整が大切です。
また、犬の体に無理のない範囲での軽い運動を心がけましょう。

処方された薬を指示どおりに飲ませ続けることも、重要です。
心臓病の薬は飲み忘れや自己判断での中断が病状を急変させる原因になりかねません。
服薬スケジュールを家族全員で共有し、毎日の投薬を確実に続けるようにしましょう。

飼い主様に知ってほしい心臓病の犬が見せる危険なサイン

心臓病の犬と暮らすうえで、飼い主様にぜひ習慣にしていただきたいのが、こまめな観察です。
特に、犬が眠っているときの呼吸数は、心臓の状態を知る手がかりとして非常に有用です。安静時の呼吸数が1分間に30回を超える日が続くようであれば、心臓病が悪化しているサインかもしれません。

また、

  • 咳を頻繁にするようになった
  • 散歩の途中で座りこむようになった
  • 食欲が急に落ちた
  • 舌や歯茎の色が白っぽくなった

といった変化も、見逃してはならない重要な兆候です。
こうした症状に気づいたとき、
「飲水量を減らせば楽になるかも」
と自己判断で水分制限を行うことは避けましょう。
水分制限は根本的な解決にはつながらず、脱水症状などの新たなリスクを生む原因となりかねません。
異変を感じたら、まず獣医師に相談することが、愛犬の命を守る最善の選択です。

まとめ

犬が心臓病と診断されても、飼い主様が自己判断で水分制限を行う必要は基本的にありません。
犬の体には飲水量を自ら調整する力が備わっており、むやみに水を制限することはかえって脱水症状のリスクを高める可能性があります。
肺水腫などの重篤な状態で一時的に水分管理を行う場合は獣医師の指示に従いましょう。
飼い主様にできるもっとも大切なことは、日頃の観察と記録を欠かさず、気になる変化があれば早めに動物病院へご相談いただくことです。

愛犬の心臓の状態に関して不安なことがあれば、気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q.心臓病の犬が急に水をたくさん飲むようになった場合は受診が必要ですか?

A.心臓病の治療で利尿剤を使用している犬では、飲水量が増えることがあります。
ただし、以前より明らかに水を飲む量が増えた場合は、腎臓病や糖尿病など別の病気が隠れている可能性もあります。
自己判断で水分制限をせず、飲水量を記録して獣医師に相談しましょう。

Q.心臓病の犬にはウェットフードを与えても大丈夫ですか?

A.ウェットフードに含まれる水分まで制限する必要は基本的にありません。
むしろ食事から自然に水分を摂取できるメリットもあります。
ただし、心臓病では水分量よりもナトリウム量が重要です。
心臓病用療法食など、塩分に配慮された食事を獣医師と相談して選びましょう。

Q.心臓病の犬の1日の飲水量はどのくらいが正常ですか?

A.犬の飲水量は食事内容や服用している薬などによって変化します。
特に利尿剤を使用している犬では通常より多く水を飲むことがあります。
普段の飲水量を把握し、急激な増減があれば動物病院へ相談することが大切です。

渋谷区・恵比寿・代官山の動物病院
HALU代官山動物病院

 
 

担当獣医師

循環器科・内科・軟部外科

横井 (ヨコイ, Yokoi)

動物さんたちの日々の体調管理に助力させていただけたら幸いです。 分からないことや不安に思うことがあれば気兼ねなくご質問ください。

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

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