愛犬の歯がぐらぐらしているのに気づいて、心配になった経験はありませんか?
子犬の歯の生え替わりであれば自然な現象ですが、成犬の歯がぐらぐらしている場合は、歯周病などの病気のサインかもしれません。
歯のぐらつきを放っておくと、歯を失うだけでなく全身の健康にまで影響が及ぶ可能性があります。
この記事では、犬の歯がぐらぐらする原因から、飼い主様ができる対処法まで獣医師がわかりやすくお伝えします。
愛犬の歯に少しでも不安を感じている方はぜひ最後までお読みいただき、今後のケアにお役立てください。
犬の歯がぐらぐらするのはなぜ?

犬の歯がグラグラする背景には、以下のような原因が考えられます。
それぞれ対処法が異なるため、まずは原因を正しく知ることが大切です。
歯周病
犬の歯がぐらぐらする原因で、もっとも多いのが歯周病です。
犬の口の中では、食べかすが歯に残ると歯垢がたまり、やがて硬い歯石へと変わります。
歯石の中で細菌が増えると歯茎に炎症が起こり、進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が少しずつ溶けていくことも多いです。
骨の支えを失った歯は、ぐらぐらと揺れ始めるようになります。
3歳以上の犬の約80%が何らかの歯周トラブルを抱えているとされており、決して珍しい病気ではありません。
乳歯遺残
乳歯遺残とは、永久歯が生えてきても乳歯が抜けずに残ってしまう状態です。
子犬は通常、生後4〜7か月ほどで乳歯から永久歯に生え替わります。
ところが小型犬では、乳歯がうまく抜けず永久歯と並んだまま残ってしまうケースがあります。
残った乳歯がグラグラしていても自然に抜けないことが多く、放置すると歯並びや噛み合わせに影響を及ぼすこともあるため、早めの対応が必要です。
外傷
硬いおもちゃや骨をかじったり、ほかの犬とぶつかった衝撃で歯を痛めたりすると、歯の根元(歯根)がダメージを受けてグラグラになることがあります。
外傷は見た目では気づきにくい場合も多いため、おもちゃを噛んだ後に急に食べ方が変わったときなどは注意が必要です。
口の中の腫瘍
歯がぐらぐらする背景には、腫瘍が隠れていることもあります。
歯ぐきやあごの骨に腫瘍ができると、周囲の組織が壊されて歯がグラグラすることがあります。
歯茎が不自然に盛り上がっていたり、左右で見た目が違う場合は、早めに受診してください。
歯がぐらぐらする歯周病リスクが高い犬の特徴
歯のぐらつきはどの犬にも起こりうるトラブルですが、中でも特にリスクが高いのが小型犬です。
たとえば、
- チワワ
- トイ・プードル
- ミニチュア・ダックスフンド
といった小型犬種は、あごが小さいにもかかわらず大型犬と同じ本数の歯が生えています。そのため小さなあごの中に歯が密集しやすく、歯と歯のすき間に汚れがたまることで歯周病が進行し、歯がぐらぐらになるリスクが高いです。
犬種だけでなく、犬の年齢も歯の健康に大きく関わる要素です。
一般的に犬は3歳を過ぎた頃から歯周病の発症率が上がり始め、7歳を超えるシニア期に入るとそのリスクはさらに高まります。
シニア犬の飼い主様が歯のぐらつきに気づいたときには、すでにあごの骨の吸収がかなり進んでいるケースも珍しくありません。
また、毎日の生活習慣も歯の健康を左右します。
歯みがきの習慣がない犬や、やわらかいウェットフードを中心に食べている犬は、歯の表面に歯垢がたまりやすいです。
歯垢はわずか2〜3日で硬い歯石に変わってしまうため、毎日のデンタルケアを続けることが歯周病予防の鍵を握っています。
歯周病で歯がぐらぐらしているのを放置するとどうなる?
歯がぐらぐらしているのを放置すると、口の中だけでなく、全身の健康に影響する可能性があります。
たとえば、歯周病でぐらぐらした歯の周りは細菌が繁殖しやすい環境になっており、細菌は歯の根元から血管へと侵入することがあります。
血流に乗った細菌は全身に炎症を引き起こす恐れがあり、心臓病や腎臓病など犬の命にかかわる病気の引き金になりかねません。
また、歯がグラグラしている犬は口の中に痛みを抱えているため、食欲の低下や体重減少を招くこともあります。
犬はもともと痛みを表に出さない動物であり、飼い主様が異変に気づいた頃には症状がかなり進行していることが多いです。
歯がぐらぐらしているときの正しい対処法

愛犬の歯がぐらぐらしていたら、早めに動物病院を受診しましょう。
歯がぐらぐらしている場合は、時間が経つほど骨の破壊や感染が進んでいくため注意が必要です。
ご家庭では、歯茎の赤みや腫れ、出血などがないかを観察しておくと受診時に役立ちます。
また硬いおもちゃやガムはすぐに片づけ、ぐらぐらしている歯に負担がかからないよう配慮しましょう。
歯周病で歯がぐらぐらしている場合は、スケーリング(歯石除去)だけで改善することは難しく、抜歯が必要になるケースが少なくありません。
抜歯と聞くと、
「歯を抜いても大丈夫なの?」
と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際にはぐらぐらしている歯を抜くことで、痛みから解放され、食欲や元気を取り戻すことも少なくありません。
こうしたトラブルを早期に見つけるためにも、日頃から愛犬の口をチェックし、年1〜2回は歯科検診を受けることが大切です。
まとめ
犬の歯がぐらぐらする原因は歯周病がもっとも多いです。
歯のぐらつきを放置すると、全身の健康状態に悪影響を及ぼすこともあるため、注意しましょう。
また、歯周病以外の病気が隠れていることもあるので、早めに動物病院で確認してもらうことが大切です。
当院では愛犬の歯の状態に合わせた最適な治療プランをご提案しております。
愛犬の歯の異変に気づいたら、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.ぐらぐらしていた歯が自然に抜けた場合も受診が必要ですか?
A.はい、成犬の場合は受診をおすすめします。
歯が抜けても歯根の一部が残っていたり、歯周病による感染やあごの骨の破壊が進んでいたりする可能性があります。
抜けた歯があれば捨てずに持参し、動物病院で口の中を確認してもらいましょう。
Q.ぐらぐらしている歯を自宅で抜いてもよいですか?
A.飼い主様が無理に抜くのは避けてください。
歯根が折れて歯ぐきの中に残ったり、強い痛みや出血を起こしたりする危険があります。
口腔内の状態によっては、レントゲンで歯根やあごの骨を確認し、麻酔下で安全に抜歯する必要があります。
Q.歯がぐらぐらしている間も歯みがきを続けてよいですか?
A.ぐらついている歯を強く磨くと、痛みや出血を悪化させる可能性があります。
受診までは患部への歯ブラシの使用を控え、無理に口を触らないようにしましょう。
治療後の歯みがき再開時期や方法は、傷の治り具合に応じて獣医師へ確認してください。
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