吐き、下痢

ワンちゃんが異物を食べちゃった?!動物病院での治療(催吐処置、内視鏡、手術)について解説

「目を離した隙に何かを食べてしまった、どうしたらいいの?」、「口に入れたものを取り出そうとしたら飲み込んでしまった」など経験したことある飼い主様も多いと思います。

実際に動物病院にそのようなことで来院される患者さんはよく見られます。

今回は胃内異物について解説致します。

異物誤食について

誤食の発生率は、とある保険会社のデータで年間約20万件以上と報告されており、特に1歳未満の若齢犬で多く見られています。

好奇心や遊びから発生し、イベントや家族行事も多い冬場に増加する傾向があります。

治療はその食べたものによって異なります。

ワンちゃんでは子供のおもちゃ、梅干しなどの種、トウモロコシの芯などが多く、ネコちゃんでは紐や糸などが多くみられます。

異物誤食の重要なポイント

  • 誤食の確実性

食べたと思ったが、実は自宅のどこかに隠れていたことなども見られるので、よく確認してもらう必要があります。

  • 食べたものの形状

形状によって治療内容が変わることがあるので、可能であれば実際にそのものを持ってきてもらえると正確な判断ができます。

  • 食欲不振や嘔吐などの症状の有無

異物誤食により嘔吐や食欲不振などが多くみられます。その場合には早期の治療が必要となります。

誤食に関しては無症状のことも見られるが、異物が腸管を閉塞、穿孔することで急性に状態が悪化し、瀕死の状態に陥ることもあるので、油断はできません。

どんな検査をするの?

  • レントゲン検査、造影レントゲン検査

レントゲン検査では無麻酔かつ異物の可視化、広範囲の探索が可能であり重要な検査になります。

金属や骨、石などは陰影を読み取ることができますが、そのほかは異物自体を読み取ることが困難なことがあります。

しかし、そのほかに異物に伴う消化管の変化などを読み取ることで診断の正確性が向上します。

また造影剤を使うことによって、より正確に判断することが可能となります。

  • 超音波検査

超音波検査は異物の診断において非常に重要となります。

こちらも無麻酔で実際に異物本体を描出、その動きなどを評価することができます。

ただ、実施者の主観的評価となるため、見落としなどの可能性は否定できません。

  • 内視鏡検査

内視鏡は胃内に挿入できるため、胃内の評価、また胃内異物の場合は全体像の把握、把持・牽引することでの胃内異物の摘出もができます。

しかし、全身麻酔が必要であること、食道、胃、十二指腸領域までの領域に制限される事などがあります。

どんな治療をするの?

いくつかの選択肢があり、異物の種類、ワンちゃん、ネコちゃんの種類、大きさなどから治療方針を決めます。

  • 経過観察

臨床症状がなく、誤食物が体格と比べて極めて小さい場合は、自然と排泄されることがあります。

ただ、体調の急変、消化管が傷ついたりすることによる消化器症状が見られる場合があるので、注意が必要となります。

  • 催吐処置

基本的には全身麻酔の必要がない、催吐処置を選択します。

ただし、鋭利な異物や食道に障害を起こす可能性のある異物では危険性が高いため、催吐処置は行わず、別の選択を行います。

また、催吐処置を行った際、稀に神経症状がみられることがあり、特に高齢のワンちゃんで脳に疾患を持っている場合はリスクが高くなります。

  • 内視鏡による摘出

催吐処置で目的の異物の排泄が見られなかった場合、また大きさ形状的に嘔吐が困難と判断した場合に内視鏡による摘出を行います。

ただ、内視鏡による摘出にも限界があり、異物が大きく摘出が困難な場合、牽引摘出する際の食道への障害が高い際は別の選択を行います。

  • 胃切開による摘出

今までの治療と比べると、ワンちゃん、ネコちゃんへの負担は強くなりますが、内視鏡で摘出が困難な場合に行います。

内視鏡での摘出であれば日帰りですが、胃切開での摘出となると数日間の入院が必要となります。

実際に

9カ月のワンちゃん

2日前から嘔吐と食欲低下を主訴に来院されました。

飼い主様は変なものを食べてはいないと思うとのことでした。

レントゲン検査、超音波検査で異物を疑う所見があり、内視鏡を行いました。

内視鏡を入れ胃内に異物を確認し、専用の鉗子を使い摘出しました。

処置自体は数分で終わり、麻酔後しばらくは病院で様子を見た上で、当日退院となりました。

摘出後は元気食欲も改善しました。

上の写真は摘出した梅干しの種です。

まとめ

異物誤食に対する治療は状況によって大きく異なります。

当院では2種類の内視鏡を準備し、小型から大型のワンちゃん、ネコちゃんへ対応ができ、可能な限りは胃切開ではなく、内視鏡での摘出を目指しています。

少しでも不安な場合は様子を見ずに、早めにご相談ください。

 
 

担当獣医師

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

内科・眼科

宮本 (ミヤモト, Miyamoto)

English Speaking Veterinarian
動物たちからたくさんのことを感じ取り、からだへの負担をできる限り少なくすること、ご家族さまとのコミュニケーションの中で治療方針をご一緒に考えていくことを大切にしています。

内科・画像診断科

岩木 (イワキ, Iwaki)

English Speaking Veterinarian
多くの選択肢をわかりやすくオーナー様に提供でき、大切な家族の一員である子たちにとって最適な治療計画を一緒に見つけられる存在であるために、寄り添える獣医師を目指しています。

内科・軟部外科・歯科

高澤 (タカサワ, Takasawa)

犬ちゃん、猫ちゃんの声なき声を理解し、ライフスタイルに合わせて治療を飼い主様と選択する事を大切にしています。 HALU動物病院の来られる方々の快適な生活と健康のお手伝いができるよう診療していきます。

循環器科・内科・軟部外科

横井 (ヨコイ, Yokoi)

動物さんたちの日々の体調管理に助力させていただけたら幸いです。 分からないことや不安に思うことがあれば気兼ねなくご質問ください。

内科・脳神経科

浅田 (アサダ, Asada)獣医学博士

てんかんを中心とした神経疾患とその治療について研究をしました。現在大学病院でも助教として脳神経科の診療に携わっています。

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