『バリウム検査』は聞いたことがある人も多いと思います。人間でも健康診断に含まれることもある検査だと思います。犬猫では健康診断で行うことはありませんが、症状や他の検査の結果によってはバリウム検査で精査をすることがあります。
今回はバリウム検査に進んだ症例を紹介します。
○検査の次の日に結腸まで進んで便として毛玉が出てきた例
嘔吐が続くとのことで来院された猫ちゃんです。もともと毛玉を吐くことが多いとのことでした。
エコーの検査で消化管全体に液体が鬱滞しており、その先で閉塞物がある可能性がありました。実際に物理的に消化管が閉塞しているのと、消化管の機能が落ち動きが悪くなっているのとでは治療方針が変わってきます。実際に閉塞しているのか、またその部位の特定のためにバリウム検査に進みました。
初め造影剤はとてもスムーズに流れましたが、三時間後から進まなくなってしまいました。
このバリウム造影剤が進まなくなった場所で消化管が閉塞していると考えられました。
このまま造影剤が進まなければ開腹手術の可能性を考え、次の日まで待ったところ
結腸まで造影剤が押し流されていました。退院後、自宅で便と一緒に毛玉が出たとのことです。今回のケースでは毛玉によって消化管が閉塞していましたがバリウム造影剤によって押し流され閉塞が解除されたと考えられます。
○十二指腸ががねじれ閉塞を起こしていた例
嘔吐が続き食欲がないと来院されたワンちゃんのケースです。エコーの検査では十二指腸の重度の液体の鬱滞が見られました。症状とエコーの様子から閉塞を疑いバリウム検査を行ったところ
6時間経っても胃からの排出がほとんど見られません(左:5分後、右:6時間後)。明らかに異常な所見です。この日夜のエコー検査でも十二指腸の鬱滞はひどくなっていました。緊急性を感じそのまま開腹手術を行ったところ、十二指腸が腹腔内でねじれを起こし、閉塞を起こしていました。そのねじれを手術で解消したところ次の日にはバリウムが結腸までしっかり流れていました。
(手術後のレントゲン画像)
○バリウム検査によって異物が映し出された例
こちらも嘔吐が続き食欲不振が続いている猫ちゃんです。たまにおもちゃを齧っていたずらをしているので間違って飲み込んでいるかもしれないとのことでした。
この子もエコー検査で消化管の鬱滞が見られ、症状や問診から誤食を視野に入れバリウムの検査に進みました。
上の二件と異なり造影剤がスムーズに結腸まで流れました。一見異常が無いように見えますが、よく見ると十二指腸の中に異物の形が見えました。
このようにバリウム検査には閉塞の有無を見つける以外にも、消化管内にある異物を描出する役割もあります。この猫ちゃんはこの後開腹し腸切開手術を行い、飲み込んでいたおもちゃを摘出しました。
嘔吐や食欲不振が続く際には早めにご来院ください。まずは血液検査やエコー、レントゲンの検査を行いますが、消化管の閉塞の可能性がある場合はバリウム検査に進み、実際の閉塞の有無やどこで閉塞しているかを確認することがあります。
気になる症状がある場合にはご相談ください。
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