猫の心膜横隔膜ヘルニアは、横隔膜に異常があり、お腹の臓器が心臓を包む膜の中へ入り込んでしまう病気です。
無症状のまま偶然見つかることもあれば、呼吸が苦しそう、嘔吐するといった症状が現れることもあります。
この記事では、
「猫の心膜横隔膜ヘルニアで見られる症状は?」
「呼吸や食欲に影響がでる理由は?」
「無症状でも手術が必要?」
といったポイントをわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、心膜横隔膜ヘルニアに対する不安や疑問を整理するためにお役立てください。
猫の心膜横隔膜ヘルニアとは?
猫の心膜横隔膜ヘルニアは、正式には「腹膜心膜横隔膜ヘルニア」と呼ばれる病気です。
「横隔膜」と呼ばれる胸とお腹を隔てる膜に穴が開き、本来はお腹の中にあるはずの肝臓や腸などの臓器が、心臓を包んでいる「心膜」の中へ入り込んでしまうのが特徴です。
心膜横隔膜ヘルニアの原因は生まれつきの異常の場合が多いですが、事故などによる外傷も原因になりえます。
猫の心膜横隔膜ヘルニアの多くは、子猫〜若齢のタイミングで見つかります。
発見のきっかけとしてもっとも多いのは、健康診断や避妊・去勢前に行うレントゲン検査です。
ただし、症状がほとんど出ないまま成長し、シニア期に偶然発見されるケースも少なくありません。
なお、猫によっては他の先天性疾患を併発している場合もあります。
その場合は、子猫のころから発育がゆっくり、あまり活発でないなどの異変があるケースが多いです。
猫の心膜横隔膜ヘルニアで見られる症状は?

猫の心膜横隔膜ヘルニアは無症状のことも少なくない病気ですが、以下のような症状が見られる場合もあります。
- 呼吸が速い
- 運動を嫌がる
- 寝ているときに呼吸数が増える
- 興奮時だけ苦しそうになる
- 食欲が低下する
- 嘔吐する
症状は常に一定とは限らず、食後や運動後だけ悪化することも珍しくありません。
なお、以下のような症状が見られた場合は緊急性が高いため、早めの受診が必要です。
- 口を開けて呼吸する
- 横になれないほど苦しそう
- ぐったりしている
- 舌や歯ぐきが紫色っぽい
猫は症状を隠す動物でもあるため、急に症状が現れたように見える場合もあります。
いずれにしても、心配な症状がある場合は早めに動物病院を受診しましょう。
猫の心膜横隔膜ヘルニアで呼吸や食欲に影響がでる理由
猫の心膜横隔膜ヘルニアでは、お腹の臓器が胸側へ入り込むことで肺や消化管を圧迫してしまいます。
これが、呼吸や食欲に影響が出る理由です。
たとえば、肝臓などの臓器が胸の中へ入り込むと、肺が十分に広がりにくくなります。
その結果、呼吸が速くなる、息が荒くなるといった症状につながります。
胃や腸が胸の中へ入り込んだ場合に見られる症状は、食欲低下や嘔吐などです。
これらの消化器症状は毛球症や胃腸炎といった他の疾患でも比較的よく見られる症状のため、区別がつきにくいこともしばしばあります。
なお、胸腔内に入り込んでいる臓器の種類や量、圧迫の程度などによって症状の出方はさまざまです。
猫それぞれに個体差があるため、気になる変化があれば早めに動物病院へご相談ください。
猫の心膜横隔膜ヘルニアは症状がなくても手術が必要?

猫の心膜横隔膜ヘルニアは、無症状であっても基本的には手術が必要と考えられます。
無症状のまま一生を過ごす猫もいますが、将来的に症状が現れたり、入り込んだ臓器によって心臓や肺が圧迫されたりする可能性があるためです。
心膜横隔膜ヘルニアの手術では、胸側へ入り込んだ臓器を元の位置へ戻し、横隔膜に空いている穴を閉じます。
手術後は良好な経過をたどるケースが多く、再発も比較的少ないため、状態が安定すれば普段通りの生活へ戻れる場合がほとんどです。
しかし、手術を行うには全身麻酔が必要です。
そのため、高齢や持病などにより麻酔リスクが高い場合などには、すぐに手術を行わず、定期検査をしながらの経過観察をする場合もあります。
猫ごとに適した治療方針は異なるため、手術を検討する際は、メリットとデメリットを十分に理解したうえで判断することが大切です。
まとめ
猫の心膜横隔膜ヘルニアは、生まれつきの異常などにより横隔膜に穴が開き、お腹の臓器が胸側へ入り込んでしまう病気です。
呼吸が苦しい、嘔吐するといった症状がでる場合もありますが、無症状のまま偶然発見されることも多く、症状の程度はさまざまです。
将来的なリスクなどから、心膜横隔膜ヘルニアは無症状でも基本的には手術が必要となります。
猫の心膜横隔膜ヘルニアについて、不安なことや疑問点などがあれば当院までお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.猫の心膜横隔膜ヘルニアは遺伝するのでしょうか?
A.心膜横隔膜ヘルニアは先天性疾患であり、遺伝的要因が関与していると考えられています。
兄弟猫や親猫にも同じ疾患がある可能性があるため、多頭飼いの場合は他の猫についても検査を受けることをおすすめします。
Q.手術後の回復期間や注意点はありますか?
A.手術後は通常1〜2週間の安静期間が必要です。
激しい運動や高い場所への上り下りは制限され、傷口の管理や定期的な経過観察が重要になります。
Q.レントゲン検査以外にどのような検査が必要ですか?
A.レントゲンで病気が疑われた場合、超音波(エコー)検査で心臓や胸腔内に入り込んだ臓器の状態を詳しく評価します。
これにより、ヘルニアの内容物(肝臓、腸など)を特定し、心臓への影響を確認することが可能です。
さらに精密な手術計画を立てるために、CT検査を追加で行うこともあります。
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