内視鏡

【誤食】犬猫の内視鏡での異物摘出(たまに吐く、慢性嘔吐)

こんにちは、今回は意外と多いわんちゃん、ねこちゃんの誤食についてお話しします。
何に対しても興味をもちやすいわんちゃんやねこちゃんは食べ物やおもちゃなどいろいろなものを食べてしまうことがあります。

誤食をしてしまった場合は、食べてしまったものの成分や形によりますが、
① 催吐処置(お薬を注射して吐き出させる)
② 内視鏡による異物除去
③ 開腹下でも異物除去
以上が対処方法となります。

今回はそのなかでも内視鏡による異物除去についてお話しします。

今回の症例は数日前から1日1回吐くと当院に来院された子です。
レントゲン検査と腹部超音波検査により胃内に異物が認められました。
検査結果より、金属製の円形の異物が疑われました。

胃内異物のレントゲン画像
胃内異物のレントゲン画像

X線上で認められた胃内異物

エコー検査で認められた胃内異物

超音波検査で認められた胃内異物

φ2㎝大と異物が大きめであったことから、内視鏡検査による異物除去を試みました。内視鏡で胃内を観察すると、外国の硬貨が確認されました。また、嘔吐に伴う胃内の出血も所々で確認されました。

内視鏡で胃内に硬貨が見つかった様子

胃内に認められた通貨

内視鏡により異物を摘出し、数日間胃腸炎の治療を行い、無事退院となりました。

今回は銅製の硬貨であったため胃酸で溶け、胃炎を引き起こしていました。今回は大丈夫でしたが、長期的に胃内に異物があった場合は銅中毒(肝障害など)を引き起こしていた可能性もあります。

異物の種類によっては、中毒を引き起こしてしまうこともあります。また、形によっては穿孔(胃に穴が開く)してしまう可能性もあります。
今まで吐き気はなかったのに吐くようになった、食欲が出ずぐったりしているなど気になる症状があった場合は早めにご相談ください。

当院の内視鏡は超小型犬(1kg~)にも対応できる最新のものです。今まで内視鏡が入らずお腹を開けなければならなかった小型犬、猫の異物もこの内視鏡でとれるようになりました。小型の動物の内視鏡手技はとても繊細で困難ではありますが、この手技により動物への負担がかなり改善されています。

よくある質問

Q.内視鏡の検査や処置には麻酔は必要ですか? 

A.多くの場合、動物が動かないようにするため全身麻酔が必要です。
重度の内臓疾患や高齢などの場合は、麻酔リスクを十分に評価し、適切な麻酔処置を実施します。
術後はしばらく安静にし、状態をしっかり観察します。

Q.内視鏡で取り出せない異物はありますか?

A.はい、異物の形状や大きさ、滞在している場所によっては内視鏡で摘出できない場合があります。
たとえば、尖ったものや腸に進んだもの、大型で胃の出口を通らないものなどが該当します。
その場合は外科的手術による摘出が必要です。

Q.内視鏡検査や異物除去後の注意点は何ですか?

A.内視鏡後は、軽い嘔吐や食欲低下が数日みられる場合がありますが、多くは一時的です。異物摘出の場合、胃や食道の傷による炎症が残ることもあるため、数日間は消化に優しい食事と安静が必要です。
また、再び誤食しないよう身の回りの整理整頓や、危ないものを届かない場所に置くことが大切です。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
HALU代官山動物病院
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担当獣医師

内科・画像診断科

岩木 (イワキ, Iwaki)

English Speaking Veterinarian
多くの選択肢をわかりやすくオーナー様に提供でき、大切な家族の一員である子たちにとって最適な治療計画を一緒に見つけられる存在であるために、寄り添える獣医師を目指しています。

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