僧帽弁閉鎖不全症は、高齢の小型犬に多い心臓病のひとつです。
心臓病と聞くと、
「散歩はしても大丈夫なのか」
「どのくらいの散歩なら心臓に負担がかからないのか」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、僧帽弁閉鎖不全症でもほとんどの犬は散歩を楽しむことができます。
適度な散歩は体力維持やストレス軽減のためにも重要です。
無理なく、安全に楽しめる散歩の仕方を知っておくことで、愛犬の負担を減らしつつ、これまで通りの日常を続けることができます。
この記事では、僧帽弁閉鎖不全症の犬の散歩について、わかりやすく解説します。
愛犬が安心して散歩を楽しめるように、ぜひご一読ください。
犬の僧帽弁閉鎖不全症とは?
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左心室と左心房のあいだにある「僧帽弁」がきちんと閉じなくなる病気です。
キャバリアやチワワなどの小型犬に多く、特に高齢になるほど発症しやすいです。
僧帽弁閉鎖不全症では、本来なら一方向に流れるはずの血液が逆流してしまうため、心臓に余計な負担がかかります。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、進行度に応じてステージA〜Dに分類されます。
- ステージA:リスクが高い状態・犬種だが、逆流はない
- ステージB1:逆流はあるが、症状はない
- ステージB2:逆流があり、咳などの症状がでてくることもある
- ステージC:逆流があり、肺水腫などの心不全症状がある/あった
- ステージD:通常の薬ではコントロールが難しい状態
散歩をしても大丈夫?僧帽弁閉鎖不全症のステージ別に見る散歩の目安

僧帽弁閉鎖不全症と診断されると、
「散歩はもう行かない方がいいの?」
と心配になる飼い主様も多いと思います。
散歩は心臓の負担になることもありますが、僧帽弁閉鎖不全症の犬でも必ずしも散歩をやめる必要はありません。
犬の散歩には次のようなメリットがあります。
- 筋力維持
- ストレス軽減
- 認知機能の維持
僧帽弁閉鎖不全症の犬の散歩では、無理のない範囲で犬の呼吸や足取りを見ながら調整してあげることが大切です。僧帽弁閉鎖不全症のステージごとの散歩量の目安は以下のとおりです。
ステージB1:逆流はあるが、咳などの症状はない場合
僧帽弁閉鎖不全症と診断されていても、心雑音があるだけでほかに目立った症状が出ていないことはよくあります。
その場合は、僧帽弁閉鎖不全症の診断前と変わらず、普段どおりの散歩で問題ありません。
ただし、興奮しやすい遊びやダッシュは控えめにしましょう。
過度に気にする必要はありませんが、心配であれば階段も抱っこで移動してあげると安心です。
ステージB2~C:逆流があり、症状もある場合
僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、咳や息切れといった症状が見られることがあります。
しかし、薬でうまくコントロールできていて日常生活に大きな支障がない状態であれば、散歩は問題なく続けられます。
散歩をさせるときは、10〜15分程度の短時間でゆっくり歩き、必要に応じてこまめに休憩を入れることが大切です。
坂道や階段は心臓に負担がかかるため避け、どうしても通る場合は抱っこやカートを利用して無理のないようにしましょう。
ステージD:通常の薬ではコントロールが難しい場合
僧帽弁閉鎖不全症がさらに進行すると、薬だけでは症状を安定させることが難しくなります。
咳や息切れのために日常生活に支障が出ることも多いです。
この段階では、無理に歩かせる必要はありません。
トイレを済ませる程度のごく短い散歩にとどめましょう。
抱っこで外の空気に触れさせるだけでも十分なリフレッシュになります。
僧帽弁閉鎖不全症の犬との散歩で気をつけるポイント

僧帽弁閉鎖不全症と診断されたら、これまで以上に散歩の仕方への心配りが必要です。
心臓に負担がかかりやすい場面を知っておくことで、散歩中のリスクを大きく減らすことができます。
以下のポイントを押さえておくと、愛犬と安心して散歩を楽しめるでしょう。
季節・天気による負担を最小限にする
僧帽弁閉鎖不全症の犬は気温や湿度の影響を受けやすいです。
季節や天気ごとの注意点を守り、心臓への負担を最小限にしましょう。
夏
朝夕の涼しい時間帯を選び、アスファルトの照り返しや高い湿度に気をつけましょう。
日中の散歩は熱中症のリスクに加え、心臓への負担となり危険です。
冬
犬は冷たい空気を吸い込むことで咳が出やすくなります。
体温の低下も心臓の負担になるため、防寒具を着せて短時間で切り上げましょう。
雨の日
体が濡れると体温が下がり心臓に負担がかかりやすいです。
防寒具にくわえて雨具も活用し、体が濡れないようしっかり守ってあげましょう。
ハーネス(胴輪)を使用する
僧帽弁閉鎖不全症の犬が散歩するときは、首輪ではなくハーネス(胴輪)を使いましょう。
ハーネスは首元を圧迫しないため、首輪よりも咳が出づらくなります。
特に、軽くて柔らかいタイプだと負担が少なく快適です。
散歩へ行かなかったときはどうリフレッシュする?
体調や天気によって散歩を控えた日は、室内でリフレッシュしてみましょう。
ポイントは「激しい運動を避けつつ、軽く体や頭を使えること」を取り入れることです。
室内をゆっくり歩いたり、おもちゃを使った知育遊びを取り入れたりすると良い刺激になり、ストレス軽減にもつながります。
飼い主さんとのスキンシップも立派なリフレッシュです。
ブラッシングをしたり、ゆっくり撫でたりすることで呼吸も落ち着きやすくなります。
外に出られない日でも、ちょっとした工夫で満足度の高い時間を過ごせます。
その日の体調に合わせ、無理のない範囲で楽しませてあげましょう。
僧帽弁閉鎖不全症の犬と散歩中にこんな症状がでたら要注意!
僧帽弁閉鎖不全症の犬では、散歩の刺激が体調悪化につながることがあります。
歩き方や呼吸の様子など、小さな変化に早めに気づいてあげることがとても大切です。
気をつけて散歩していても、僧帽弁閉鎖不全症の状態によっては以下のような症状が見られることもあります。
- 舌の色が紫っぽい
- ハァハァの呼吸が長く続く
- 咳が増える
- 歩く速度が落ちる
- ふらつく
- 立ち止まって動かない
これらは心臓に負担がかかっているサインです。
上記の症状が見られたらすぐに休憩をとり、症状が治まるか確認することが大切です。
休憩しても症状がおさまらない場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症と診断されても、散歩を完全にやめなければならないわけではありません。
愛犬に合ったペースで続けることで、生活の質(QOL)をしっかり保つことができます。
無理のない範囲で、僧帽弁閉鎖不全症のステージや体調に応じて散歩量を調整してあげましょう。
どのくらい散歩をさせても大丈夫かなど、気になることがあれば当院までお気軽にご相談ください。
愛犬に合った散歩量や生活の工夫を一緒に考えていきましょう。
