呼吸が苦しい

犬の心臓病は呼吸数の変化でわかる?|自宅でできる早期発見の方法を獣医師が解説

犬の心臓病は、年齢を重ねるにつれて発症しやすくなる病気です。
特にチワワやマルチーズなどの小型犬は心臓病にかかりやすいため、注意が必要です。
ただし、心臓病は初期の段階では目に見える症状が出にくく、飼い主様が異変に気づいたときには病気がかなり進んでいたというケースが少なくありません。
そこで注目していただきたいのが、犬の「呼吸数」の変化です。
毎日の生活の中で愛犬の呼吸数をチェックしておくと、心臓のトラブルに早い段階で気づける可能性が高まります。

この記事では、犬の心臓病と呼吸数の関係や測り方について、わかりやすくお伝えいたします。
犬の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、犬の心臓病の早期発見にお役立てください。

犬の心臓病と呼吸数に密接な関係がある理由

犬の呼吸数は、心臓が正常に働いているかを知るための大切な手がかりとなります。

心臓は、全身に血液を送り届けるポンプの役割を担っています。
心臓病の影響でポンプ機能が弱くなると、血液をうまく送り出せなくなり、肺の中に血液がたまってしまうことが多いです。
肺に血液がたまると肺の中で酸素をうまく取り込めなくなるため、犬の体は酸素不足を補おうとして呼吸の回数を増やすように働きます。
つまり、心臓の調子が悪くなると、その影響が呼吸数の増加として現れる仕組みです。

たとえば、犬に多い僧帽弁閉鎖不全症では心臓の弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流してしまいます。
病気が進行すると、逆流した血液は肺にたまっていくため、犬は安静にしていても呼吸が速くなることがあります。
飼い主様が見ていて
「なんだか息が荒いな」
と感じるほどの変化が出ることも珍しくありません。

こうした理由から、呼吸数の変化は心臓が発する重要なSOSサインといえます。
日頃から呼吸数を観察しておくことが、心臓病の早期発見につながる第一歩です。

心臓病が進行した犬に見られる呼吸数の変化と症状

心臓病にかかった犬は、病気が進むにつれて呼吸数にはっきりとした変化が現れます。
健康な犬の安静時の呼吸数は、1分間に15〜30回程度が正常な範囲とされています。
一方で、心臓病が進行した犬の場合、安静時の呼吸数が1分間に40回を超えることも珍しくありません。

心臓病では、呼吸数が増えるだけではなく、呼吸の「質」にも変化が現れることがあります。
たとえば、犬が息をするたびに胸やお腹が大きく動く場合は、心臓病が進んだサインの一つです。
また、少し歩いただけで息切れを起こしたり、横になるのを嫌がって座ったまま過ごしたりする様子も心臓病に伴う代表的な症状として挙げられます。

このように、呼吸数の変化と合わせて愛犬の様子を総合的に観察することが、心臓病を見逃さないための大切なポイントとなります。

犬の呼吸数を自宅で正しく測定する方法

横になって寝ているチワワ

犬の呼吸数は、特別な道具を使わなくても、飼い主様がご自宅で簡単に測ることができます。
呼吸数を正確に測るために大切な条件は、犬がリラックスしている安静時に測定することです。
運動の直後や興奮している状態では、犬の呼吸数は一時的に上がるため、正確な測定が難しいです。
犬が眠っているときや、落ち着いて横になっているときに呼吸数をチェックしましょう。

実際に呼吸数を測定する際は犬の胸やお腹の動きに注目してください。
胸が上がって下がるまでの動きを1回として数えます。
15秒間に何回呼吸したかを数え、その数を4倍にすると、簡単に1分間の呼吸数を求めることができます。
たとえば、15秒間に5回の呼吸があった場合、1分間の呼吸数は20回です。

呼吸数の測定は毎日同じ時間帯に行い、ノートやスマートフォンのメモ機能などに記録を残しておきましょう。
記録を続けていると、呼吸数のわずかな増加にも気づきやすくなります。
さらに、動物病院を受診した際に記録を獣医師に見せていただくことで、より正確な診断に役立てることが可能です。

呼吸数の変化から犬の心臓病を早期発見するためのポイント

芝生の上を元気に走るトイプードル

飼い主様が呼吸数の測定を毎日の習慣にすることは、犬の心臓病を早期に見つけるための効果的な方法です。
早期発見のために飼い主様にまず行っていただきたいのは、愛犬が元気なうちに「普段の呼吸数」を把握しておくことです。
犬の正常な呼吸数は、犬種や体の大きさなどによって一頭ごとに異なります。
健康なうちから呼吸数を測っておけば、愛犬の基準値がわかるため、少しの変化にもすぐに気づくことが可能です。

安静時の呼吸数が1分間に30回を継続的に超えている場合や、ふだんの数値と比べて明らかに増えている場合はすみやかに動物病院を受診しましょう。
呼吸数の増加に加え、咳や食欲の低下といった症状が重なっている場合には、心臓病が進行しているサインの可能性があります。

飼い主様が呼吸数という身近な指標を毎日チェックする習慣を持つことで、心臓病のリスクに早い段階で気づくことができ、愛犬の健康寿命を守ることにつながります。

まとめ

犬の心臓病は、早期発見が生活の質を大きく左右する病気です。
毎日の生活の中で安静時の呼吸数を測り、記録を続けることで、心臓からの小さなSOSサインを見逃さずに済む可能性が高まります。

もし犬の呼吸数がふだんより明らかに増えていたり、咳や元気の低下といった症状が見られたりした場合には、早めに当院へご相談ください。

よくある質問

Q.犬の呼吸数が多い原因は心臓病以外にもありますか?

A.犬の呼吸数は心臓病だけでなく、

  • 痛み
  • 発熱
  • 貧血
  • 肺炎

などによっても増えることがあります。
また、不安や緊張によって一時的に速くなるケースもあります。
呼吸数だけで原因を判断することは難しいため、安静にしても呼吸が速い状態が続く場合は、動物病院で詳しい検査を受けましょう。

Q.心臓病の薬を飲んでいる犬も呼吸数を毎日測ったほうがよいですか?

A.すでに心臓病の治療を受けている犬でも、自宅での呼吸数のチェックが特に重要です。
治療中に安静時や睡眠時の呼吸数が増加してきた場合、心臓の状態が悪化している可能性があります。
毎日の数値を記録しておくと、治療効果の確認や薬の調整を検討する際にも役立ちます。

Q.犬が寝ているときだけ呼吸数が多いのは心臓病のサインですか?

A.犬が寝ているときでも呼吸が一時的に速くなることはあります。
ただし、深く眠っている状態でも呼吸数が多い状態が続く場合は、心臓病や呼吸器疾患が隠れている可能性があります。
何度か測定し、普段より明らかに増えている場合は動物病院へ相談しましょう。

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担当獣医師

循環器科・内科・軟部外科

横井 (ヨコイ, Yokoi)

動物さんたちの日々の体調管理に助力させていただけたら幸いです。 分からないことや不安に思うことがあれば気兼ねなくご質問ください。

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

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