コクシジウム症は、コクシジウムという原虫が小腸の細胞に寄生し、増殖することによって起こる病気です。
消化管の細胞内で増殖したコクシジウムは、糞便中に排出されます。
コクシジウムは小さいので顕微鏡でしか確認できず、肉眼で見ることはできません。

楕円形のカプセルひとつひとつが、オーシストと呼ばれる、感染力を持ったコクシジウムの卵のようなものです。
<症状>
主な症状は、下痢や嘔吐です。
腸の状態が悪いため、他の細菌やウイルス疾患を併発していることもあり、その場合は元気消失・食欲低下・発熱などの症状を示すこともあります。
また、若齢の子ほど症状が出やすく、大人になると感染していても全く症状が出ない場合もあります。
子犬や子猫は、コクシジウム感染後の食欲低下により、低血糖になってしまうケースもあり注意が必要な病気です。

<治療>

コクシジウム感染がある場合は、内服薬での治療になります。
1度の投与では落としきれない場合もあるので、その際は数回にわたって薬の投与が必要になります。
<消毒など>
コクシジウムの卵はとても強固なもので、通常の消毒剤や洗剤では死滅しません。
そのため、薬で治療してもカーペットや床に目に見えない卵が落ちていると再感染の可能性があります。
コクシジウム症と診断されたらウンチはすぐに片づけましょう。
コクシジウムは高温に弱く、100℃以上のスチームクリーナーで1分以上、あるいは1分以上の煮沸消毒を行てください。
草地や土では1ヶ月は感染源となるおそれがあるので注意しましょう。
また同居の子がいる場合は感染の恐れもあるので、治療が終わるまではなるべく接触させないことをオススメします。
若齢の子は、どうしてもコクシジウムなどの寄生虫がいることが多く、ワクチン接種や健康診断などで病院に来られるときには、
下痢などの症状がなくても、便を持って来て頂き、便検査をすることをオススメします。
よくある質問
Q.コクシジウム症は人間にうつりますか?
A.犬や猫のコクシジウムは基本的に人間には感染しません。
コクシジウムは宿主特異性が高く、犬は犬型、猫は猫型のコクシジウムに感染します。
ただし、免疫力が低下している方や小さなお子様がいる場合は念のため手洗いを徹底し、ペットの便を処理する際は手袋を着用することをおすすめします。
Q.コクシジウム症の感染を予防するにはどのような対策が有効ですか?
A. 感染防止のためには、こまめなトイレ掃除や直ちに便の処理を行うことが重要です。
また、飼育環境の清潔保持や高温による消毒(スチームクリーナーや煮沸消毒)が有効です。
便検査を定期的に行い、早期発見・早期治療をこころがけてください。
Q.コクシジウム症の治療中に気をつけるべき食事や生活面のポイントはありますか?
A. 治療中は腸への負担を減らすため、消化の良いフードやウェットタイプのごはんを選ぶとよいでしょう。
水分補給も意識し、食欲が落ちている場合はフードを温めるなど工夫しましょう。
嘔吐や元気消失が見られた場合は早めに再診を受けてください。
猫の診療所(HALU+代官山動物病院)
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