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【猫伝染性腹膜炎】猫伝染性腹膜炎FIPの症例紹介

猫伝染性腹膜炎(FIP)とは、猫コロナウイルス(FCoV)の感染により引き起こされる感染症です。

猫コロナウイルスは「腸コロナウイルス(FECV)」と「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」にわけられ、比較的弱毒な腸コロナウイルスが突然変異し、FIPを引き起こす強毒の猫伝染性腹膜炎ウイルスになるといわれています。

猫伝染性腹膜炎ウイルスに感染し、FIPを発症すると、発熱、元気食欲の低下、体重減少や貧血などの症状が起こり、胸水や腹水がたまったり、お腹の中にしこりができたり目が濁ったり、神経症状を起こしたりすることがあります。

胸水や腹水がたまるFIPを「ウェットタイプ」、お腹の中にしこりができたり目が濁ったりするFIPを「ドライタイプ」と呼びます。

また、ウェット、ドライタイプが合わさった「混合型タイプ」も存在します。

さらに詳しい説明は以前の記事をご覧ください

https://www.halu.vet/1485

 

FIPは一度発症すると有効な治療法はなく、死を待つのみの病とされてきました。

 

当院のFIP患者さんの紹介をします。

この患者さんは3ヶ月のときに下痢で来院し、その際エコーでリンパ節の腫れを確認しました。

その後も治療を続け、軟便や猫カゼ症状が続きながらも、大きく体調の変化はありませんでした。

 

しかし4ヶ月の時に突然体調が悪くなり、確認すると胸に水が溜まってしまっていました。

FIPにより溜まった液体は非常に粘度が高く、また特徴的な小麦色をしています。

胸水を抜き、PCR検査を行ったところ猫コロナウイルスが胸水から検出され、FIPと診断されました。

おそらく初めは腸コロナウイルスにより軟便を引き起こされていたものが、途中で猫伝染性腹膜炎ウイルスに変異してFIPを発症してしまったのだと思われます。

診断されたその日から入院し様々な治療を開始したところ発熱はおさまり、元気や食欲も戻り、また軟便もなくなりました。

体重もどんどん増加していき、今もまだ投薬中ですが、良好な状態を保っています。

 

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