去勢手術・避妊手術

【犬の去勢】性ホルモンに関連した疾患の予防

精巣の役割

雄の生殖腺である精巣は、精子を産生すると共にホルモンを分泌する内分泌腺でもあります。

精子を作られるのは体温よりも低い環境で効率よく行われるため、腹腔外にある陰嚢内に左右一対の精巣が収まり、精巣の温度が体温よりも高くならないように調節しています。

精巣下降のタイミング

精巣は胎子期には腹腔に存在していますが、徐々に陰嚢内に移動してきます。生後1ヶ月ぐらいまでに完了するといわれています。しかし、この時期には精巣も小さいため確認が容易ではなく、もう少しあとに精巣の存在を確認できることもあります。

※陰嚢内に完全に下降できず、体内に留まった精巣は精子をつくる事が出来なくなり、性ホルモンの分泌も不十分で陰嚢内に降りた精巣より小さくなります。

画像の左側が少し小さく成長した精巣になります。

去勢手術のメリット

  • 望まれない交配による妊娠の回避
  • 性ホルモンに関連した以下のような問題行動の抑制
  • 攻撃性の抑制
  • 尿のマーキングの抑制
    など

●性ホルモンに関連した疾患の予防

  • 前立腺肥大症 
    5~6歳以上の去勢していない雄には加齢とともに性ホルモンのバランスが崩れることにより、前立腺の肥大が認められ、排便や排尿障害、疼痛などが起こることがあります
  • 精巣腫瘍
    精巣が陰嚢内に完全に下降しない潜在精巣の状態の精巣は精巣腫瘍になる確率が、下降している精巣の3~14倍と言われています
  • 会陰ヘルニア
    肛門周囲に発生する大腸(直腸)のヘルニアであり、直腸壁を支えている筋肉が弱まったことにより起こり、多くは年をとった犬にみられます
  • 肛門周囲腺腫
    8歳以上の去勢をしていない雄で起こる肛門の近くに見られる腫瘍の一種です

去勢手術のデメリット

  • 全身麻酔のリスク
  • 縫合糸の感染及びアレルギー反応 – 当院では縫合糸を使用しない方法です。
  • 体重の増加傾向 – 代謝が減少するため、肥満になりやすくなります。

  

去勢手術の適応時期

問題行動を起こしていた時間が長いほど、手術後に改善がみられない傾向があります。

ある程度体が成長し、性成熟に達する前の時期である6~8ヶ月齢で手術を実施することが推奨されます。

まとめ

上記のメリットでも記載したように、性ホルモンに関連した問題行動を解決するために去勢手術を行う事が多くあります。

手術に関してだけではなく病気に関してなど、少しでも気になられた方はお気軽にスタッフにご相談ください。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院
HALU代官山動物病院
03-6712-7299

担当獣医師

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

循環器科・内科・軟部外科

湯沢 (ユザワ, Yuzawa)

動物は、家族にとってかけがえのない存在です。 愛おしくもたくましい彼らの人生が、長く幸せで楽しい時間であるためのサポートをすること!をモットーにしています。

関連記事