犬の目の下が腫れていると気づいたとき、飼い主様は
「しこりができたのかな?」
と心配されることが多いのではないでしょうか。
実は、犬の目の下の腫れは、歯のトラブルが原因で起こるケースが非常に多いです。
特に上顎の奥歯が感染を起こすと、膿(うみ)が目の下にまで広がり、顔が腫れてしまうことがあります。
この記事では、犬の目の下が腫れる原因や、飼い主様に知っておいていただきたい症状について獣医師がわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の歯のトラブルを見逃さないようにしましょう。
犬の目の下が腫れる原因は歯が多い?
犬の目の下が腫れたとき、その原因としてもっとも多いのは「根尖膿瘍(こんせんのうよう)」という歯の病気です。
根尖膿瘍とは、歯の根元に細菌が感染して膿がたまってしまう状態です。
犬の上顎には大きな奥歯があり、この歯の根元は目の下の骨のすぐ近くまで伸びています。そのため、この歯の根元に膿がたまると、膿が目の下の皮膚まで到達し、顔の表面がぷっくりと腫れてくることが珍しくありません。
たとえば、犬が硬いおもちゃや骨を噛んで歯が割れてしまったケースや、歯周病を長い間放置していたケースで、根尖膿瘍は起こりやすくなります。
根尖膿瘍以外にも、
- 腫瘍
- アレルギー
- 外傷
などが目の下の腫れを引き起こすことはありますが、犬の場合は歯が原因と診断されるケースが圧倒的に多いです。
犬の目の下の腫れと歯周病の関係とは

犬の目の下が腫れる背景には、多くの場合「歯周病」が隠れています。
歯周病とは、歯の表面にたまった歯垢(しこう)の中の細菌が歯ぐきに炎症を引き起こし、少しずつ歯を支える骨を破壊していく病気です。
3歳以上の犬の約80%が歯周病を抱えているとされていますが、初期段階では症状がないことが多く、飼い主様が気づきにくいです。
そのため、気づいたときにはすでに病気がかなり進んでいたというケースも珍しくありません。
歯周病が重度に進行すると、歯の根元に膿がたまる根尖膿瘍へと発展し、その膿が上顎の骨を溶かして目の下の腫れとして現れます。
さらに悪化した場合、皮膚に穴が開いて膿が外に流れ出す「外歯瘻(がいしろう)」に至ることもあるため、歯周病を早い段階で見つけて治療につなげることが大切です。
犬の目の下が腫れるときに同時に起こりやすい症状
犬の目の下の腫れが歯の病気が原因の場合、腫れ以外にもいくつかのサインが現れることがあります。
飼い主様がこれらのサインを見逃さないことが、病気の早期発見のために大切です。
ここでは代表的な症状をご紹介します。
口臭がきつくなる
歯の根元で細菌が増えると、犬の口から強いにおいがするようになります。
「最近、愛犬の口が臭い」
と感じたら、歯の根元で感染が進んでいるサインかもしれません。
食べ方が変わる
歯に痛みを抱えている犬は、フードを片側の歯だけで噛んだり、硬いものを避けて食べ残したりすることがあります。
食事量が変わらなくても、食べ方に変化がないか注意しましょう。
目やにや涙が増える
歯の根元の感染が目の周囲にまで広がると、目やにが増えたり涙が止まらなくなったりする場合があります。
目の症状だけを見ると眼科の病気と思いがちですが、歯が原因で起きているケースも少なくありません。
顔を触ると嫌がる
ふだんは顔を触らせてくれる犬が、急に顔周りを触られるのを嫌がるようになったときは、口の中や目の下に痛みを感じている可能性があります。
特に腫れている側だけを避ける場合、歯のトラブルが強く疑われるサインです。
くしゃみや鼻水が出る
上顎の歯の根元の感染が鼻まで波及すると、くしゃみや鼻水の症状が現れることがあります。
風邪のように見えるため見過ごされやすい症状ですが、目の下の腫れと同時に起きていれば歯科疾患を疑う必要があります。
犬の目の下が腫れたら動物病院でどんな検査・治療をするの?
犬の目の下に腫れを見つけたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
動物病院では、腫れている部分の視診と触診を行い、腫れの大きさや痛みの有無を確認します。
次に口の中を詳しく観察し、歯ぐきの腫れ、歯のぐらつきなど歯周病のサインがないかをチェックします。
血液検査で体の中に炎症や感染が起きていないかを調べることも重要な判断材料です。
これらの検査を総合的に判断し、最適な治療方針を決定します。
根尖膿瘍と判明した場合は、原因となっている歯の抜歯と膿の洗浄などの処置が必要です。早い段階で受診すれば、犬の体への負担が少ない治療で済む可能性が高くなるため、腫れに気づいた時点で動物病院を受診しましょう。
犬の目の下の腫れは毎日の歯磨きで予防できる?

根尖膿瘍による目の下の腫れを防ぐ効果的な方法は毎日の歯磨きです。
犬の口の中では、食べかすをもとに歯垢がつくられ、この歯垢はわずか3日ほどで硬い歯石へと変化します。
歯石は家庭のケアでは取り除けないため、歯垢のうちにブラッシングで除去することが予防の基本となります。
歯ブラシに慣れていない犬の場合、まず口周りを触る練習から始めてみましょう。
加えて、年に1〜2回は動物病院で歯科検診を受けることがおすすめです。
定期検診により初期の歯周病を早期に発見でき、目の下の腫れにつながる重症化を防げます。
まとめ
犬の目の下の腫れは、多くの場合、歯周病などの歯の病気が原因で起こります。
症状を放置してしまうと、体全体に感染が広がるリスクも高まります。
目の下の腫れや口臭など気になるサインがひとつでもあれば、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
毎日の歯磨きと定期的な歯科検診を習慣にすることで、こうしたトラブルの多くは未然に防ぐことが可能です。
愛犬のお口の健康について気になることがあれば、いつでもお気軽に当院へご相談ください。
よくある質問
Q.犬の目の下が急に腫れた場合、すぐに動物病院へ行くべきですか?
A.目の下が急に腫れた場合は、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。
特に腫れが急速に大きくなる、元気や食欲がない場合は注意が必要です。
歯の感染だけでなく、アレルギー反応など緊急性の高い原因が隠れている可能性もあります。
Q.犬の目の下の腫れが自然に引いたら、動物病院へ行かなくても大丈夫ですか?
A.腫れが自然に引いても、原因が治ったとは限りません。
根尖膿瘍では、たまっていた膿が皮膚などから排出されることで、一時的に腫れが小さくなる場合があります。
しかし、原因となる歯の感染が残っていれば再発する可能性があるため、腫れが治まった場合でも動物病院で診察を受けましょう。
Q.犬の目の下が片側だけ腫れることはありますか?
A.歯の病気が原因の場合、左右どちらか片側だけが腫れることは珍しくありません。
感染している歯の位置に応じて、その歯と同じ側の目の下に腫れが現れることがあります。ただし、腫瘍や外傷などでも片側だけ腫れる場合があるため、見た目だけで原因を判断せず、動物病院で確認してもらうことが大切です。
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