「猫に避妊手術は本当に必要なの?」
「手術のリスクが心配……」
そんな疑問や不安をお持ちの飼い主様は多いのではないでしょうか。
猫の避妊手術は、望まない妊娠を防ぐだけでなく、命に関わる病気の予防や寿命の延長にもつながる大切な手術です。
本記事では最新の知見をもとに猫の避妊手術のメリットや適切な時期をわかりやすく解説します。
猫の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、避妊手術について最善の選択をするための参考にしていただければ幸いです。
猫の避妊手術の基本

猫の避妊手術(不妊手術)とは、メス猫の卵巣、または卵巣と子宮を摘出する手術のことです。一般的には卵巣摘出術と卵巣子宮摘出術の2種類があり、どちらも全身麻酔のもとで行われます。
猫の避妊手術のおもな目的は、望まない妊娠を防ぐことです。
猫は繁殖力が非常に高く、1回の出産で4〜6匹の子猫を産むことも珍しくありません。
飼い主様が繁殖を希望しない場合、計画外の妊娠を確実に予防することは、不幸な命を増やさないためにも重要です。
また、避妊手術には性ホルモンに関連する病気の予防という目的もあります。
メス猫では乳腺腫瘍、子宮蓄膿症などの病気が性ホルモンと深い関係にあることがわかっており、避妊手術によって発症リスクを大幅に下げることができます。
猫の避妊手術で得られるメリット
避妊手術のもっとも注目すべきメリットのひとつが、寿命の延長効果です。
ある研究によると、避妊手術を受けた猫は、受けていない猫と比べて、39%も寿命が延びるという報告があります。
避妊手術には寿命の延長以外にも以下のようなメリットがあります。
乳腺腫瘍のリスクを大幅に軽減できる
猫の乳腺腫瘍は、約80〜90%が悪性とされる恐ろしい病気です。
しかし、生後6か月未満で避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍のリスクを91%も減少させることができるとされています。
これは性成熟前に女性ホルモンの影響を断つことで、乳腺組織への刺激を最小限に抑えられるためです。
子宮や卵巣の病気を予防できる
子宮蓄膿症は、子宮に膿がたまる病気で、未避妊のメス猫に発症するリスクが高いです。
卵巣腫瘍なども避妊手術をしていない場合は発症の可能性が残ります。
避妊手術で卵巣や子宮を摘出することにより、これらの疾患を根本的に予防することができます。
行動面の安定にもつながる
未避妊のメス猫は、発情期になると大きな声で鳴き続けたり、落ち着きがなくなったりすることが多いです。
避妊手術によって発情に伴う不安定な行動が収まる可能性が高いとされています。
避妊手術は猫自身のストレス軽減はもちろん、飼い主様の快適な生活にもつながります。
猫の避妊手術をしないとどうなる?考えられるリスク
避妊手術を行わない場合、前述した乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの深刻な病気にかかるリスクが残り続けます。
特に乳腺腫瘍は、避妊手術をしないまま年齢を重ねるほど発症リスクが上昇し、発見時にはすでに進行しているケースも少なくありません。
また、発情期の行動変化も見過ごせない問題です。
メス猫は年に複数回発情し、その都度大きな声で鳴き続けるため、飼い主様のみならず近隣への影響も懸念されます。
さらに、脱走して外で交配するリスクも高まり、望まない妊娠や交通事故につながることもあります。
避妊手術をしない選択をする場合は、将来の疾患リスクを十分に理解したうえで、定期的な健康診断を欠かさず受けることが大切です。
猫の避妊手術に適した時期と術後の注意点

国際猫医学会(ISFM)の2013年のガイドラインでは、家庭飼育の猫においても早期の避妊去勢が推奨されています。
一般的には、性成熟前(生後5〜6か月齢ころ)の手術が理想的です。
性成熟前の手術は確実な妊娠防止に加え、乳腺腫瘍リスクを91%減少させる高い予防効果が得られます。
2014年に行われた大規模な研究では、性成熟前に手術を受けた猫と生後6〜8か月で手術を受けた猫とを比較した結果、行動面への悪影響は認められていません。
このことからも、早期の手術は安全かつ有効であるといえます。
避妊手術の術後にもっとも注意したいのが体重管理です。
避妊手術後はホルモンバランスの変化で基礎代謝が低下し、同じ食事量でも太りやすくなります。
研究では、猫の糖尿病リスク増加のおもな原因は術後の肥満によるインスリン感受性の低下と考えられています。
肥満は糖尿病をはじめとするさまざまな疾患の引き金になるため、適切な食事量の管理と運動の確保を心がけましょう。
術後は避妊手術後用フードへの切り替えや給餌量の見直しをすることが大切です。
キャットタワーの設置やおもちゃでの遊び時間の確保など、日常的な運動習慣の維持も肥満予防の鍵になります。
まとめ
猫の避妊手術は、望まない妊娠の防止にとどまらず、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの重大な病気の予防など、多くの健康上のメリットがあります。
猫の避妊手術はメリットが大きく、デメリットはほとんどないとされています。
一方で、糖尿病などの発症リスクを減らすためには術後の体重管理は欠かせません。
避妊手術に関してお悩みがある飼い主様は、当院までご相談ください。
愛猫にとって最善の選択を、一緒に考えていきましょう。
よくある質問
Q.避妊手術後に猫の性格が変わることはありますか?
A.避妊手術後はホルモンの影響が減少し、発情期特有の落ち着きのなさや攻撃性が緩和されることがあります。
ただし、基本的な性格が大きく変わることは少なく、多くの猫は以前と変わらず穏やかに過ごします。
Q.避妊手術後の傷のケアはどのように行えばよいですか?
A.術後は猫が傷口を舐めないようエリザベスカラーを装着し、清潔に保ちましょう。
赤みや腫れ、出血など異常があればすぐに動物病院へ相談することが大切です。
抜糸などの有無も獣医師の指示に従ってください。
Q.高齢の猫でも避妊手術は受けられますか?
A.高齢猫でも健康状態が良ければ手術は可能ですが、若齢の猫に比べて麻酔リスクや回復力の面で慎重な判断が必要です。
事前検査で持病や健康状態をしっかり確認したうえで、獣医師とよく相談しましょう。
渋谷区・恵比寿・代官山の動物病院
HALU代官山動物病院
