今回は当院における避妊手術の方法をご紹介します。
※術前の検査で麻酔のリスクを評価した上で全身麻酔をかけて行います。
1. 消毒
まずはじめに仰向けの状態で、お腹の毛を広範囲に刈り、しっかりと消毒をします。
※お腹の中に毛が入ってしまうと感染を起こす可能性があります。
2. 切皮
おへそと陰部を結ぶ真ん中のラインで中心の皮膚を数cm切開します。
傷口の大きさはその子の体の大きさで多少異なりますが、小型犬の場合は2cm前後になります。
3. 開腹
切開した皮膚を左右に広げ、その下の腹壁を開けていきます。
腹壁を切開して腹部の臓器を確認し、左右の背中側にある子宮と卵巣を見つけ出します。
4. 子宮と卵巣の確認
片方ずつ子宮をスペイフックという器具を用いて釣り出し、お腹の外に引っ張りあげます。子宮の先についている卵巣まで辿っていき、子宮と卵巣を繋いでいる靭帯と血管を見つけ出します。
5. シーリングシステムと子宮・卵巣の摘出
見つけ出した血管と靭帯は、それぞれ同時にバイクランプと呼ばれる電気凝固機器を用いて、組織を熱で凝固させることで止血を行います。このように糸を用いずに凝固することをシーリングシステムと呼びます。凝固した部分は、手術用のハサミで切り離していきます。
両方の卵巣を切り離したら、子宮とともに子宮の根元(子宮体〜子宮頚部)までお腹の外へ取り出していきます。その後、子宮の根元を血管とともにバイクランプで凝固し、切り離します。
こうしたシーリングシステムによって、糸を用いた結紮(組織を強固に縛ること)を最小限にすることが可能となり、縫合糸による副反応を抑えたり、糸を使って結紮する際にかかる麻酔時間を短縮することができるのです。
6. 止血の確認と閉腹
子宮と卵巣を摘出した後、お腹の中で出血をしていないかしっかりと確認します。確認ができたら、腹壁、皮下組織、皮内と皮膚の順番で縫合していき、お腹を閉じます。
7. 覚醒とネブライジング
皮膚の縫合が完了したら、速やかに麻酔を切り、覚醒させます。
覚醒後は、薬を含んだ水蒸気を嗅がせること(ネブライジング)で、人工呼吸中に乾いた気道や気管を保護します。これで手術は終了です。
基本的には手術時間は15分ぐらいです。身体が大きかったり、発情期であったりすると、出血量が多くなることもあるので手術の時期はよく相談しましょう。
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