愛犬が大好きなお散歩に行きがらない、後肢をかばって歩いている症状はありませんか?
今回は歩行や姿勢維持に障害をもたらす前十字靭帯断裂についてご紹介いたします。
前十字靱帯の機能とは?
①大腿骨に対して脛骨が前に出すぎないようにする
②脛骨が内旋しすぎないようにする(内股になりすぎないようにする)
③膝関節が過剰に伸びすぎないようにする
などが挙げられます。
犬はこの前十字靱帯が損傷しやすいとされており、損傷した前十字靱帯が切れてしまうことがあります。 これを前十字靱帯断裂といいます。
原因
人ではスポーツや外傷性の原因が多いですが、犬では加齢性の変化や、遺伝的な素因、肥満、内分泌疾患など、突発性でなく慢性的な影響が原因となります。
症状
- 起立時どちらかに体重をかけている
- 膝が伸びてしまい正常なおすわりができない
- 後肢を挙上する
- 歩き方がおかしい
このような様子が見られた場合、前十字靱帯断裂の可能性が考えられますので病院での検査をお勧めします
検査
触診や、歩様の観察、X線検査など様々な検査所見と併せて総合的に診断します。
X線画像
左側の画像(R)と右側の画像(L)の写真を比較すると、前十字靭帯が断裂している左側の画像は脛骨が大腿骨に対して、前方に出てしまっているのがわかります。


治療
外科手術が第一選択になります。
靭帯は治癒しないため、靭帯を整復するのではなく周りの組織を強化して安定させます。
【TPLO法(脛骨高平部水平化骨切り術)】
脛骨を切り大腿骨と接する関節の角度を調節することで、歩行時などに発生する力の方向を変えます。金属プレートとスクリューで固定して膝関節の安定を目的とした手術です。
このTPLO法は術後の回復が早いこと、術後の骨関節炎が軽度であること、合併症が少ないことがメリットとして挙げられていて、最近ではTPLO法が主流となってきています。



プレートを入れた術後のX線画像
術後管理
術後5〜7日は安静入院。 X線写真で問題なければ退院。
退院後お家での生活は、サークルの中や限られたスペースで走ったりジャンプなどをせずに安静に過ごしていただきます。
2週間後 X線検査 抜糸
4週間後 X線検査 徐々に安静解除
8週間後 X線検査
12〜16週間後のX線検査で最終チェック
X線検査では金属プレート、スクリュー、骨に問題がないことを確認します。
まとめ
当院では術後の生活の質をスムーズに改善できるよう、当院に所属するリハビリ科にて、レーザー治療のリハビリも行っています。
今回ご紹介した前十字靭帯断裂以外にも、気になる症状がある方はお早めにご相談ください。
【猫専門診察】
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