前足つかない

【肩関節脱臼】犬が前足をあげている…犬の肩関節脱臼の症例の紹介

今回は肩関節の脱臼を起こした症例の紹介です。

このわんちゃんは、自宅でベッドから落下し前脚が床につかなくなったとのことで夜間病院へ受診されました。夜間病院にて肩関節の脱臼と診断され、テーピングによる固定を行なった状態で当院へ来院されました。

上は来院時のレントゲンです。マルがついている右肩関節が脱臼を起こした部分です。整復後なのでレントゲン撮影時は脱臼は起きていませんが、反対側の関節に比べて関節腔が均一でなく、関節が不安定なことが伺えます。

1週間後に再診に来たときのレントゲンです。

横からの画像(左)では脱臼していないように見えますが、お腹側から撮ったレントゲン(右)では脱臼しているのが分かります。テーピングで固定はしている状態でしたが、関節が不安定な場合、定期的な検査で再脱臼していないか確認することが大切です。

このわんちゃんはこの後、テーピングではなくコルセット装具に切り替えました。テーピングでの固定は前脚を曲げて使わないように体に固定するため、動物は患肢が使えません。一方コルセット装具は動物がなるべく普段通りに生活できるようにしつつしっかりと再脱臼しないように関節を固定します。このわんちゃんも最初の1週間ほどは装具に違和感があったようですがしばらくして来院された時にはすっかり慣れてくれていました。

装具を開始して1ヶ月後に再診に来院した際のレントゲンです。

受傷時に比べて肩関節腔が狭く均一になっており、安定している様子がわかります。

この時点でこのわんちゃんは装具を付けずに問題なく歩行できており、普段通りの生活ができているとのことでした。

特にトイプードルなどの犬種では、関節内の靭帯が緩みやすく外傷によって肩関節が脱臼することがあります。今回紹介したわんちゃんもシニアになった際に、靭帯が緩み再度脱臼する可能性があるため気をつける必要があります。

当院では、整形症例の治療の一つとして、少しでも動物の負担を減らし普段通りの生活ができるようコルセット装具を提案させていただくことがあります、是非ともご相談下さい。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
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担当獣医師

整形外科

安川 (ヤスカワ, Yasukawa)獣医学博士

言葉を発することができない彼らが示すサインを的確に見極め、本当に手術が必要な場合に最高水準の治療をしてあげられるよう外科技術を研鑽してきました。

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