今回は下痢の症状で来院された際に、寄生虫感染で多く見られるコクシジウムとジアルジアについてご説明します。
便検査の意義
便検査は軟便、下痢の場合などに便のサンプルを顕微鏡で確認し、菌のバランスや寄生虫の有無を確認することでどのような治療が必要かを判断するために行います。
善玉菌や悪玉菌のバランスが乱れていた場合は整腸作用のある薬やサプリメントでの治療、寄生虫が確認された場合はその寄生虫によって駆虫するための薬を使用します。
下痢であってもすぐに止めるべき下痢なのか、止めずに出し切ってしまった方がいいものなのかを判断するためにも便検査は必要不可欠です。
寄生虫コクシジウムとは
顕微鏡でないと確認ができない原虫類の小さな寄生虫です。
日和見感染症の1つで健康な犬では感染しても症状が出ないことが多いですが、ストレスなど免疫の低下により発症、症状が出る場合があります。
感染経路としては感染した動物の便からの経口感染で体内に入ります。症状は下痢や嘔吐が一般的です。
治療はコクシジウムの駆虫薬を飲み、対症療法として下痢止め、点滴などの水分補正をします。

寄生虫ジアルジアとは
ジアルジアも顕微鏡でないと確認ができない寄生虫ですが、全体の数や便の新鮮さによっては顕微鏡で確認ができない場合があるため、ジアルジア専用の検査キットを使用して検査を行う事があります。
感染経路としてはコクシジウム同様、感染した動物の便から経口感染します。症状としては下痢、食欲不振、体重減少が見られます。
治療は抗原虫薬を飲み、対症療法として下痢止めを処方します。

自宅での消毒方法、感染対策
- コクシジウム
感染が見つかった場合は便が付着したタオルや床は直ぐに消毒しましょう。
コクシジウムの卵はとても強固なものであるため、日常で使用する消毒液や洗剤では死滅しません。70℃~100℃の熱湯消毒やスチームクリーナーで消毒可能です。
免疫が低下している時に再発の可能性もあるため、下痢などが認められる場合には早期治療や消毒を徹底しましょう。
- ジアルジア
ジアルジアも感染した動物の糞便中におり、経口摂取することで感染することがあります。
お散歩の際に他の動物の便が落ちていることもあるため、落ちているものなどに容易に近付かせない様に気を付けましょう。
消毒方法は5%の次亜塩素酸ナトリウムを30倍に薄めた液体での拭き取り、4級アンモニウム塩を含む洗剤での洗浄、熱湯消毒が有効です。
また、乾燥にも弱いため熱湯消毒できないものは日光消毒やスチーム機能がお勧めです。


最後に
今回は下痢が主訴でご来院され、その中でも寄生虫感染が確認された際に見つかることが多いコクシジウムとジアルジアのご紹介でした。他にもたくさんの寄生虫がおり、経口感染で感染することがほとんどです。予防薬で感染予防できる寄生虫もいるため引き続き毎月忘れずに予防を行っていきましょう。
また、涼しくなってきてお散歩の機会も増えてきました。お散歩中の誤食なども体調を崩すきっかけとなってしまうため、地面に落ちているものには十分注意してあげてください。
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