今回は近年、感染や死亡報告などが増えてきているダニから感染する病気、SFTSについてご紹介致します。
SFTSとは?
ウイルスを保持しているマダニから媒介される人獣共通感染症です。感染経路としてはマダニに人が直接吸血されて感染する場合もありますが、マダニから吸血され感染した犬猫との濃厚接触により人へ感染する場合もあります。
犬猫の主な症状としては6-14日間の潜伏期間後、元気、食欲消失、黄疸、発熱、嘔吐がみられ、人では発熱、頭痛、全身の倦怠感、筋肉痛、下痢嘔吐の消化器症状があり、重症化すると意識障害を伴う場合もあります。
致死率も20-30%と高く、特に高齢者は重症化しやすい傾向があります。
マダニについて
マダニは草むらや山林などに生息しており、生息場所に近づいた動物や人に寄生し吸血します。体長は種類によりますが3mmほどの小さいサイズもおり、吸血されてもほとんど気づきにくいです。
しかしマダニは皮膚から離れないよう、口器をしっかりと突き刺し長時間吸血します。無理に剥がそうとするとマダニの一部が皮膚内に残ってしまい炎症を起こすことがあります。
マダニに噛まれた時には動物病院や人では皮膚科などの医療機関で処置をしてもらいましょう。


犬、猫のマダニの予防方法
犬も猫も予防薬を塗布、もしくは経口投与することにより予防が可能です。予防薬を1回投薬することにより、1ヶ月間(予防薬の種類によっては最大3ヶ月間)効果が持続します。
お散歩など外に出ない子でも、外から帰ってきた人の衣類などに付着して来る場合もあり、寒い時期に関わらず年中生息しているため、生活スタイルに関わらず通年の予防が必要です。

最後に
SFTSは、以前は暖かい地域(西日本)などで感染の報告がありましたが、近年では2021年に静岡県で初めて感染の報告がありました。最近だと2024年5月にも長崎市で80代の女性の死亡が報告されています。

ベーリンガーリンゲルハイムアニマルヘルスジャパン(株)より引用
また、マダニは都内に草むらでなくても生息している場合があるため、HALUではノミマダニの通年の予防を常におすすめしています。
「うちの子はあんまり外には出ないから」とは考えず、オーナー様ご自身や周りの人を守るためにも出来る予防はしっかりとしてあげましょう!
よくある質問
Q.もし犬や猫がSFTSに感染してしまったら治療法はありますか?
A.現在のところ、犬や猫のSFTSウイルスに直接効果のある特効薬や確立された治療法はありません。
SFTSの治療は脱水を防ぐための点滴や、二次的な細菌感染を防ぐための抗生物質の投与など症状を和らげる対症療法が中心となります。
非常に厳しい闘病になることが多く、命を落とす危険性も高いため、何よりもマダニを寄せ付けないための予防がもっとも重要です。
Q.SFTSは人から人にも感染しますか?
A.現時点で明確に人から人への日常的な感染は確認されていませんが、感染した犬や猫の血液・体液に直接触れることで人に感染する可能性はあります。
ほかの家庭内動物や家族間での日常的な接触で簡単にうつることはほとんどありませんが、流血や体液に触れる場合は必ず手袋などの使用や手洗いを徹底しましょう。
Q.マダニによるSFTS以外の感染症にも注意が必要ですか?
A.はい、マダニはSFTSウイルスのほかにもバベシア症やライム病などさまざまな病気を媒介します。
これらもペットや人に重大な健康被害を及ぼすことがありますので、マダニ対策はSFTSのみならず、広く病気の予防のために重要です。
予防薬の継続投与や定期的な皮膚チェックを習慣にしましょう。
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