暑い日が続くこれからの季節は、犬の気管虚脱の症状が悪化しやすい時期です。
「ガーガーというアヒルのような咳が出る」
「興奮すると苦しそうに咳き込む」
「散歩中にゼーゼーしてしまう」
このような症状が見られる場合は、気管虚脱の可能性があります。
■気管虚脱とは?
気管は空気の通り道で、軟骨のリングによって筒状の形が保たれています。
しかし、気管虚脱ではこの軟骨が弱くなり、気管が押しつぶされることで、空気の通り道が狭くなってしまいます。
その結果、咳や呼吸困難などの症状が現れます。


特に以下の犬種で多く見られます。
- ヨークシャー・テリア
- ポメラニアン
- チワワ
- トイプードル
- マルチーズ
■なぜ夏に悪化しやすいの?
暑い季節には体温を下げるために「パンティング(ハァハァと呼吸をする事)」が増えます。
パンティングが続くことで気管に大きな負担がかかり、気管虚脱の症状が悪化しやすくなります。
そのほかにも
- 高温多湿
- 興奮
- 激しい運動
- 肥満
- 首輪による気管への圧迫
なども症状を悪化させる要因となります。
重症になると十分な酸素を取り込めず、命にかかわることもあります。
■このような症状はありませんか?
次のような症状が見られる場合は注意が必要です。
- ガーガーという特徴的な咳
- 興奮すると咳が止まらない
- 散歩中や暑い日に咳が増える
- 息苦しそうにしている
- 呼吸が早い
- チアノーゼ(舌や歯茎が紫色になる)
- 失神してしまう
チアノーゼや失神が見られた場合は緊急性が高く、すぐに動物病院をしてください。
■診断方法
- 症状、身体検査
- レントゲン検査
- 気管支鏡
- CT検査
などを組み合わせて診断します。
症状の程度や、どの部位に気管がつぶれているのかを評価することが大切です。
■治療方法
- 内科治療
軽傷から中等症では、お薬による治療を行います。 - 咳止め
- 気管支拡張薬
- 抗炎症薬
- 鎮静剤(興奮を抑える目的)
症状に応じて、これらを組み合わせます。
また肥満がある場合は減量、首輪をハーネスに変更するなども重要です。
- 外科治療
- 気管内ステント留置術
気管内にステントを入れることで、気管の狭窄を予防します。 - 気管外プロテアーゼ法
気管の外側にらせん状のプロテーゼ(補強材)を巻き付け、縫合で固定することで、気管の狭窄を予防します。
症例ごとに適応が異なるため専門的な評価が必要となります。
■ご家庭でできる予防・管理
日常生活で次のような工夫をすることで、症状の悪化を防げます。
- エアコンを使用し、室温を快適に保つ
- 暑い時間帯の散歩を避ける
- ハーネスの使用する
- 適正体重の維持する
- 興奮しすぎない環境を作る
■まとめ
気管虚脱は完治が難しい病気ですが、早期発見・早期治療により症状をコントロールできるケースが多くあります。
特に夏はパンティングが増え、症状が悪化しやすい季節です。
「最近咳が増えた」、「ガーガーという咳が気になる」など、少しでも気になる症状がありましたら、お早めにご相談ください。
早めの診察が呼吸を守ることにつながります。
