「最近、犬の元気が少しない気がする」
「犬が散歩で歩きたがらなくなった」
このような悩みをお持ちの犬の飼い主様はいるのではないでしょうか。
犬にこれらの症状が見られた場合は心臓病の可能性があります。
犬の心臓病の中でも特に多いのが僧帽弁閉鎖不全症です。
今回は僧帽弁閉鎖不全症の中でも比較的初期の段階である「ステージB1」について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の僧帽弁閉鎖不全症の早期発見にお役立てください。
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1とは?
僧帽弁閉鎖不全症は心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁が正常に閉じなくなることで、血液が逆流する病気です。
僧帽弁閉鎖不全症は進行度合いによってステージA〜Dに分けられ、ステージB1は心雑音があるが、心臓の拡大はまだ見られない段階を指します。
つまり、ステージB1は僧帽弁閉鎖不全症の初期段階ということですね。
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1の症状
僧帽弁閉鎖閉鎖不全症ステージB1では、飼い主様が日常生活ではっきりわかるような症状は現れません。
そのため、僧帽弁閉鎖不全症ステージB1は健康診断などで偶然発見されるケースが多いです。
しかし、犬を注意深く観察することで以下のような変化に気づくことができる場合もあります。
- 軽い咳をするようになる
- 散歩を嫌がるようになる
- ちょっとした運動で息切れするようになる
これらの症状が見られたら、僧帽弁閉鎖不全症を発症している可能性があるので獣医師に相談しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1は治療が必要?
犬が僧帽弁閉鎖不全症ステージB1と診断された時、多くの飼い主様がまず抱く疑問は
「すぐに治療を始めるべきか?」
という点ではないでしょうか。
結論から言うと、僧帽弁閉鎖不全症ステージB1では、すぐに治療を開始する必要はありません。
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1の段階では心臓は逆流した血液を十分に処理できており、代償機構が保たれています。
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1では治療は必要ありませんが、適切な管理と定期的なモニタリングが非常に重要です。
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1の犬で行うべきこと
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1では適切な管理を始めることで病気の進行を遅らせ、犬の生活の質を長く維持することができます。
ここではステージB1の犬と暮らす上で、飼い主様が行うべきことをご紹介します。
定期的に獣医師による検診を受ける
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1と診断された後は定期的に動物病院で検診を受けることがもっとも重要です。
個々の犬の状態によりますが、一般的には3〜6ヶ月ごとの検診が推奨されます。
心臓の検診では
- 聴診(心雑音の評価)
- 胸部レントゲン検査(心臓サイズの評価)
- 心エコー検査(心臓の構造と機能の評価)
などを行い、病気の進行状況を把握します。
これらの検査によってステージの進行を早期に捉えることが可能です。
家庭でこまめなモニタリングを行う
飼い主様ができる重要な役割の一つが犬の状態を日常的に観察することです。
散歩の途中で疲れやすくなった、遊びの時間が短くなったなどの変化があれば記録しておきましょう。
咳の頻度が増えてきたり、呼吸が速くなってきた場合は僧帽弁閉鎖不全症が進行している可能性があるため注意が必要です。
適切な栄養管理を実施する
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1から適切な食事管理を始めることで、将来的な心臓への負担を軽減できることもあります。
ナトリウムが多い食事は心臓に負担をかけることがあるため、獣医師と相談し、心臓病用の療法食へ切り替えることも有効です。
また、オメガ3脂肪酸などが含まれるサプリメントの使用も心臓の健康に役立つ可能性があります。
デンタルケアを行う
歯周病は心臓病のリスク要因となる可能性があるため、歯の健康管理も重要です。
可能であれば毎日の歯磨きを習慣づけましょう。
すでに歯周病が進行している場合は獣医師と相談の上、歯のクリーニングを検討することも大切です。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症ステージB1は、まだ症状が現れていない初期段階ですが、この時期からの適切な管理が将来の経過に大きな影響を与えます。
犬の状態を把握し、適切なケアを継続することで、より長く健康な状態を維持することが可能です。
当院では循環器診療に力を入れ、心臓の健康チェックを行っています。
犬の僧帽弁閉鎖不全症について疑問や不安があれば、遠慮なくご相談ください。
よくある質問
Q.僧帽弁閉鎖不全症ステージB1になりやすい犬種や年齢はありますか?
A. チワワやトイプードルなどの小型犬に多く見られ、特に中高齢以降(7歳から)の発症が一般的です。
これらの小型犬と暮らしている場合は、症状がなくても定期的な心臓のチェックを受けることが僧帽弁閉鎖不全症ステージB1の早期発見につながります。
Q.僧帽弁閉鎖不全症ステージB1から次のステージへは、どれくらいの期間で進行するのでしょうか?
A.進行速度には非常に大きな個体差があり、一概に「何年で進行する」とは言えません。
数ヶ月で次のステージに進む子もいれば、適切な管理によって何年もステージB1を維持できる子もいます。
そのため、3〜6ヶ月ごとの定期検診が非常に重要です。
Q.僧帽弁閉鎖不全症ステージB1の犬は運動制限をした方がいいのでしょうか?
A. 僧帽弁閉鎖不全症ステージB1では、通常は厳格な運動制限は必要ありません。
ただし、負担のかかる激しい運動や無理な長時間の運動は避け、犬の体調や様子を見ながら適度な散歩や遊びを心がけましょう。
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