猫の犬歯が折れてしまったら?~猫の犬歯破折について~
猫の犬歯は、食べ物を噛むだけでなく、獲物を捕らえたり、物をくわえたりする際にも重要な役割を持つ歯です。
しかし、硬いものを噛んだり、ぶつけたりすることで、犬歯が折れてしまうことがあります。
「少し欠けただけだから大丈夫かな?」と思われることもありますが、歯の折れ方によっては強い痛みや感染につながる可能性があります。
今回は猫の犬歯破折について解説します。
■猫の犬歯が折れる原因
猫の犬歯が折れる原因には、以下のようなものがあります。
- 高い場所から落下した
- 硬いものを噛んだ
- 顔や口をぶつけた
- ケージや金属製の柵を強く噛んだ
- ほかの猫とのケンカ
- 事故などによる外傷
特に猫では、外傷によって犬歯が破折するケースが良く見られます。
また、一見すると大きな事故がなくても、何か硬いものを噛んだことが原因となる場合もあります。
■犬歯が折れると何が問題?
歯は外側から「エナメル質」「象牙質」、そして中心部に「歯髄」と呼ばれる神経や血管が通る組織があります。
犬歯が浅く欠けただけであれば、大きな問題にならないこともあります。
しかし、破折によって象牙質や歯髄が露出すると、細菌が歯の内部に侵入する可能性が
あります。
その結果、
- 強い痛み
- 歯髄炎
- 歯髄の壊死
- 歯の根の先に膿がたまる
- 顔の腫れ
- 慢性的な感染
などにつながることがあります。
猫は痛みを隠すことが多いため、普段通りに食事をしている場合でも、痛みを感じている可能性があります。
■犬歯が折れた場合の治療
破折の程度や歯髄の状況によって、治療方法は異なります。
軽度の破折の場合
歯の表面がわずかにかけているだけで、歯髄への影響がない場合には、経過観察となることがあります。
ただし、破折面が鋭くなっている場合には、口の中を傷つける可能性があるため、処置が必要になることもあります。
歯髄が露出している場合
歯の神経や血管が通っている歯髄まで破折が及んでいる場合には、放置すると感染や痛みにつながる可能性があります。
このような場合には、
- 歯内治療
- 抜歯
などを検討します。
実際には歯が折れたことに気づかず、すでに神経への影響が見られ、抜歯が必要になることが多いです。
■犬歯が折れても食事ができるから大丈夫?
「いつも通りご飯を食べているから痛くないのでは?」と思われることもありますが、猫では食欲があるからと言って、痛みがないとは限りません。
動物は痛みがあっても食事を続けることがあります。
特に猫の痛みや不調を隠すことが多いため、犬歯が折れていることに気が付いた場合には、早めに診察を受けることをお勧めします。
■このような症状があれば、早めにご相談ください
以下のような場合には、早めの受診をおすすめします。
- 犬歯が短くなっている、または折れている
- 歯の中心に赤い部分が見える
- 歯の色が変わっている
- 口を触られるのを嫌がる
- 食べにくそうにしている
- 口臭がなった
- よだれが増えた
■実際の症例
4歳の猫ちゃんの犬歯が折れているとのことで当院を受診されました。
実際に見させていただくと、右上顎の犬歯の破折と犬歯中心部に露髄を確認できます。(以下の写真)
飼い主様に確認したところ、破折はいつ起きたかは不明、少し前から食べるのが遅くなっていたとのこと。
破折からの時間経過があること、歯髄への感染の可能性を考え、この子では犬歯の抜歯を行いました。
画像1(右上顎犬歯の破折)

画像2(犬歯の露髄)

画像3(抜歯部位の縫合)

手術後、手術前と比べて本人の食欲の改善、食べるスピードなども普段通りに戻ったと飼い主様から嬉しいご報告がありました。
■まとめ
猫の犬歯の破折は、見た目には小さな欠け方でも、歯の内部まで損傷している場合があります。特に歯髄が露出している場合には、痛みや感染の原因となるため、適切な治療が必要です。
猫は痛みを隠すことが多いため、犬歯が折れているのに気が付いた場合には、一度動物病院を受診することをおすすめします。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
