避妊、去勢手術の目的
避妊や去勢手術は望まれない妊娠や、生殖器・性ホルモンを原因とする
病気の発生リスクを低下させることを目的として行います。
Ⅰ 性ホルモンによる病気の予防
卵巣や精巣から分泌される性ホルモンが、数多くの疾患の発生に関わっていることが分かっています。
早期に避妊、去勢手術を行うことによって、性ホルモン関連疾患を予防することができます。
【手術当日までの流れ】
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STEP1
術前検査
手術の前に健康チェック!
血液検査、胸のレントゲン検査をします
問題がなければ手術の日程を組ませていただきます -
STEP2
手術当日
手術日前日の夜ごはん以降は固形の食べ物は与えず
当日の朝7時に栄養価の高いリキッドやペースト状のものを少し食べてもらいます。術後は当日退院です
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STEP3
退院
お迎え!
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STEP4
術創のチェック
数日後に術創のチェック
1週間~10日で徐々にウェアやカラーがとれるようになります
※トリミングやシャンプーは手術から2週間後以降が目安になります。
メス
■子宮蓄膿症:子宮内に細菌感染が生じ、膿が溜まってしまう病気です。
出産経験がない高齢のメス犬に発生しやすいとされています。
避妊手術をすることで予防ができます。
■乳腺腫瘍:犬で発症する腫瘍の30%が乳腺腫瘍であり、その半数が悪性と言われています。
特に猫では80-90%は悪性で、80%以上が乳腺がんであるといわれています。
ネコで未避妊の場合、最も多く発症する腫瘍は乳がんといわれています。
早期に避妊手術を行うことで、乳腺がんの発症リスクの減少が期待できます。
6か月齢以内:91% 1歳齢以内:86%
の確率で発症リスクを抑えることが可能です。
メスの場合、若齢のうちに避妊手術にて卵巣摘出を行うことにより、ホルモンに関連した疾患の発生率を低下させることができます。

オス
■精巣腫瘍:精巣が腫瘍化してしまう病気です。
犬では生後30日、猫では生後21日頃に精巣が陰嚢内に下降してきますが、そのままお腹の中に留まってしまう「潜在精巣」があり、お腹の中でも性ホルモンの分泌は行われます。
■前立腺肥大症:高齢のオス犬で多く見られる疾患です。
精巣から分泌されるホルモンによって前立腺が肥大し、前立腺の真下にある尿管を圧迫することで排尿障害が起きていたり前立腺の炎症が尿管へ派生して、血尿等の症状を呈することがあります。
精巣腫瘍、前立腺肥大…
去勢手術をすることで予防ができます

Ⅱ 問題行動の抑制
家庭内での犬やネコの問題行動は、その子の性格・飼育環境・性ホルモンが関連しています。
更に犬、ネコの性ホルモンが関係した問題行動は性別によっても違いがあります。
【犬】
メス
発情が起こると外陰部からの発情出血があります。また、発情期間が終わり、妊娠せずに乳腺が晴れてしまう偽妊娠が起こることがあります。
その場合、食欲の低下や性格が神経質になるなどの症状がみられます。
オス
マーキングを目的とした様々な場所での頻回な排尿、他のオス犬への攻撃性などの症状がみられる可能性があります。
また、マウンティング行動をしきりに取るようになります。
【猫】
メス
激しい声で鳴く様になります。
都市部で、特にマンション等で飼育されている方にとっては注意が必要です。
オス
犬と同様に、他のオス猫に対する攻撃性、マーキングを目的とした「スプレー行動」、また室内飼育のネコの場合は外に出たがるようになります。
このような問題行動は性ホルモンの働きによって生じると考えられ、避妊・去勢手術を行うことでこれらの問題行動を抑制することが可能になります。
しかし、これら様々な問題行動は、手術を行っても一度学習してしまうと中々改善することが難しい場合があります。
そのため、性ホルモンが関係する問題行動を最小限に抑える為になるべく若齢期に避妊・去勢手術を行うことが望ましいとされています。
また、オスとメスが同居し、なおかつ未避妊である場合、特に発情時期などは異性の匂いに敏感になりますので、それがストレスの原因となってしまうことがあります。
手術を行うことでこの様なストレスを取り除き、精神的に安定させてあげることが可能になります。
避妊・去勢手術の主なリスク
●麻酔
手術は全身麻酔下で行いますので、麻酔に対するリスクは0%ではありません。
動物が麻酔薬にアレルギーを持っている場合、特にワンちゃんの中でもブルドックやフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの短頭種は呼吸器の問題が起こりやすいので注意が必要です。
●肥満
術後は基礎代謝率の減少によってカロリー要求量が減ってしまうことや、行動範囲が狭まり運動量が減ることで肥満になりやすいです。
一方で、食欲は変動しないか増加する傾向があるので、食欲のままにご飯をあげてしまうと気づかない間に太ってしまいます。
ワンちゃん、ネコちゃんは一度体重が増えてしまうと減量することが難しく、又、糖尿病や骨関節炎にかかりやすくなることが知られていることから、十分に注意が必要になります。
●尿失禁
大型犬では、特にメスの避妊手術の副作用として尿失禁(興奮時の尿もれ)が起きやすくなります。
大型犬の尿失禁の発生率は5-20%(海外での報告)、小型犬での発生率はそれより少ないといわれています。
また、症状がみられるまでには術後から2年程かかるといわれています。
●縫合糸に対するアレルギー反応
手術時の縫合糸に対して、身体が異物反応を過剰にしアレルギー反応が発現することがあります。
その原因については未だに解明されていません。
ミニチュアダックスフンドにおいて、特にこの反応が起きやすいことが知られています。
メリット デメリット
避妊・去勢手術は性ホルモンが関係する問題行動や疾患等を抑制できるメリットがありますが、手術中、また術後に考えられる副作用・リスク等のデメリットの面も理解する必要があります。
<短期的>
・手術時の全身麻酔(麻酔薬に対するアレルギー等)
・術後感染症
<長期的>
・精神的、身体的な活動の減少による体重増加
・尿失禁 ※特にメスの大型犬に好発
・皮膚病(脱毛)、被毛外観の異常
・特定の疾患発生率の上昇
・縫合糸に対するアレルギー反応
・子宮、卵巣の断端の肉芽腫
・発情回帰(卵巣遺残症候群の場合)※メス特有
超音波血管シーリングシステム
超音波によって血管や組織を焼き切る手術器具です。
焼き切る為使用した部分では出血することがなく縫合糸も必要ありません。そのため縫合糸に対するアレルギー反応を抑えることができる上に、麻酔時間の短縮にもつながります。
ネブライザー
ネコの去勢手術を除き、手術は原則全身麻酔下で行います。その際に、気管チューブと呼ばれる管を喉に入れます。
酸素と麻酔薬を身体に取り入れる為の大事なものですが、同時に気管に異物を入れることになりますので少なからず気管が傷つきます。
これを和らげることを目的として喘息治療などで用いる薬液を霧状にして呼吸と一緒に取り込み、炎症を和らげます。