本日ご紹介するのは副腎皮質機能亢進症=“クッシング症候群”と言われる病気についてです。
【副腎とは】
副腎は左右の腎臓のすぐ近くにある小さな臓器で、枝豆の様なピーナツの様な形をしています。
副腎を半分に切ってみると層構造になっており、外側の3つの部分(球状層、束状層、網状層)からなる皮質と一番内側の髄質に分かれています。皮質は体の機能を維持するために必定なホルモンを分泌しており、大きく分けると体の水分やミネラルをコントロールするホルモンと血糖値や自律神経に影響を与えるホルモンがあります。髄質はカテコールアミンと言われる神経伝達物質を分泌しています。
【副腎皮質機能亢進症とは】
クッシング症候群とも呼ばれ、皮質から分泌されるホルモンが過剰となることで体に様々な影響を及ぼす病気です。
目立った症状としては、肥満や多飲多尿、腹筋が薄くなることによる腹囲膨満(お腹周りが出ているように見える)、脱毛や皮膚炎、パンティング(常に口を開けてハッハッというような呼吸)などが認められます。画像検査や超音波検査では肝臓の腫大、気管や皮膚の石灰化、高コレステロール血症などを認めることが多いです。
副腎皮質機能亢進症は、下垂体と呼ばれる脳に原因がある場合〔下垂体性副腎皮質機能亢進症〕と副腎自体に原因がある場合〔原発性副腎皮質機能亢進症〕に分けられます。前者の場合は副腎にホルモン分泌を促すホルモンが過剰になることで副腎から各種ホルモンが多量に分泌されてしまうもので、下垂体の腫瘍などが考えられます。後者は副腎の腫瘍によるもので、下垂体からの刺激が無くても過剰にホルモンを産生・分泌してしまうものです。いずれの場合も腫瘍自体は良性のものと悪性のものがあります。
【検査・診断】
上記の様な症状があるということが前提で、全身評価として血液検査と画像検査が必要です。
レントゲン検査で軟骨や皮膚の石灰化、肝臓の腫大がないか、超音波検査で副腎のサイズが大きくなっていないかといった画像検査とともに血液検査を行い全身状態の把握と高コレステロール血症や肝酵素の上昇などがないかを確認します。
またACTH負荷試験というホルモン検査を実施することで診断することが可能です。
この検査は2~3時間お預りして行う必要があります。
また副腎皮質機能亢進症が疑われた場合は、下垂体性か副腎原発性かを鑑別するためにMRIなどの画像検査を実施することもあります。
【治療・予後】
多くの場合は内服薬でコントロールしていきますが、中には治療が困難になる場合もあります。
片方の副腎が明らかなに腫瘍化して悪影響を及ぼしている場合や下垂体性のもので発作などの神経症状を示すものは、腫瘍の摘出や放射線治療などが必要になるものもあります。
また臨床症状がありながら、無治療で放置しておくと感染に弱くなったり、血栓ができやすくなったり、心臓へ負担がかかったりと様々な弊害がでてきます。
飲水量が増えた、太ってきた、被毛が薄い、よくパンティングをするなど気になる症状があればご相談下さい。
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