みなさんの中には気が付かないうちに、愛犬や愛猫の体調の変化について意外と見落としてしまっている症状があるかもしれません。
今回は「実は体調悪いかも」とひそかに動物が出しているサインの中でも呼吸器症状についてご紹介します。
動物も人と同様に鼻から空気を吸って、気道から気管支、肺へと空気を送り、酸素と二酸化炭素の交換をしながら、また残りの空気を鼻から外へと吐き出します。
この空気の通り道のどこかで異常をきたした場合、呼吸器症状として何かしらの症状を見せてきます。ただしそれ以外の原因でも呼吸器症状として目に見えるようなサインを示すことがあるため、要注意です。
【咳】
空気を吐き出すときに見られる症状が特徴です。
気管支炎や気管虚脱、喘息や肺炎に伴い認められる症状です。
ただし心臓の病気が原因となる場合にも見られます。放っておくと深刻な状況になる場合もありますので、咳かもしれないと思った際は早めに受診してください。
【くしゃみ・逆くしゃみ】
くしゃみは1、2回痙攣的に空気を吸い込み、その後発作的に口や鼻から強く空気を吐き出すしぐさを言います。鼻炎や鼻腔内異物、口腔内疾患などでよく見られる症状です。鼻水を伴うものも少なくありません。
あまりに連発するくしゃみは鼻に何かが詰まっている場合や思わぬ鼻腔内・口腔内腫瘍などが原因となっていることもありますので、一度ご相談ください。
またくしゃみや咳によく似た症状に「逆くしゃみ」というものがあります。
これは吸気性の発作性呼吸とも表現され、鼻から空気を激しく連続的に吸い込むため、見かけ上は咳き込んでいるようなしゃっくりをしている様にみられます。長い場合は数十秒続くこともあり、とても苦しそうに見えますが、治まってしまえば何事もなかったかのように元気な場合が多いです。
原因ははっきりとしていませんが、一種のアレルギーなども要因になるといわれています。症状が続いたり、増えたりする場合は獣医師に相談してください。
【頻呼吸・呼吸困難・パンティング】
呼吸の仕方の異常として、呼吸数の増加(頻呼吸)や努力性の呼吸(呼吸困難)、浅くて速い呼吸(パンティング)、特に猫では開口呼吸(口を開けた呼吸)などが挙げられます。
これらの症状は鼻や気道の狭窄、慢性気管支拡張症や肺炎、肺水腫(肺に水がたまる病気)や胸水(肺や心臓の周りに水がたまる病気)などが考えられ、症状としてはより重篤な病気の可能性があります。
さらに暑さや痛みによっても同様の症状を示すことがあるため鑑別が必要です。また大型犬や肥満の仔の場合は日ごろから、パンティングと言って浅く速い呼吸をすることもあるため、生理的な場合も考えられますが、このことがかえって病気としての症状に気が付きにくくなってしまうこともありますので注意が必要です。
家でゆっくりとしているときに、呼吸数(吸って吐いてを1回と数える)が1分間に40回を超えるときは、何かしらの異常があるかもしれません。特に食欲不振や嘔吐などほかの症状を伴っている場合はすぐにご相談ください。
写真は呼吸が速いという主訴で来院された猫のレントゲン写真と胸部のエコー検査の結果です。
レントゲンでは心臓のラインが不明瞭となり胸水がたまっている様子がわかります。


エコー検査では心臓と肺の周りに液体がたまっている様子がわかります。
黒い部分が液体がたまった部分です。

人の言葉で伝えてくれない動物の異常サインを見逃さないように、もしかしてこれは呼吸器疾患かもと思われた際はお早めに病院へご連絡ください。今回挙げた症状以外にも呼吸器症状はありますので、ご不明な点は獣医師と相談しましょう。
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