皮膚のしこり

【肥満細胞腫】肥満細胞腫

今回は肥満細胞腫についてご紹介します。

【肥満細胞腫とは】
肥満細胞とは、アレルギーや炎症に関与している細胞です。ヒスタミンやヘパリンなどの成分を顆粒に含んでいます。太っている肥満とは関係ありません。
肥満細胞腫とは肥満細胞が増え、腫瘍化した悪性腫瘍で、皮膚、皮下、粘膜、内臓と全身に発生します。犬の皮膚腫瘍で最も多いと言われています。
皮膚の肥満細胞腫の悪性度はグレード1-3に分かれ、グレードが高いほど悪性度が高く、転移を起こすことがあります。
また、肥満細胞に含まれるヒスタミンやヘパリンが放出されることにより、胃腸が荒れてしまったり、内出血を起こすことがあります。(ダリエ兆候)

皮膚肥満細胞腫

【診断】
細胞診検査を行い、肥満細胞腫と診断します。また、転移の有無を確認するために、血液検査、X線検査、超音波検査を行います。悪性度の判断は細胞診のみでは難しく、組織検査を行い決定します。また抗がん剤(分子標的薬)を使用する場合は遺伝子検査(c-kit変異)を行います。

【治療】
皮膚や皮下の肥満細胞腫の基本的な治療は手術になります。
再発を防ぐため腫瘍細胞を残さないようにマージンをしっかりと取り、摘出する必要があります。摘出した肥満細胞腫を病理検査に出し、その結果でグレードが分類されます。
手術で取り切れなかった場合は局所に放射線治療を、グレード3と悪性度が高かった場合や転移が認められる場合は、化学療法(抗がん剤)を行います。
近年新しい抗がん剤として、分子標的薬という副作用の少ない薬が肥満細胞腫の遺伝子検査のc-kit変異があるものには有効と言われています。

【予後】
犬の肥満細胞腫は、グレードが低い場合は切除によって予後は良好ですが、グレードが高いもしくは転移が認められる場合は、予後は悪く抗がん剤にも反応が乏しいこともあります。
猫の肥満細胞腫は、切除によって治癒することがほとんどで、転移はほとんどありません。まれに皮膚に多発する肥満細胞腫が、内蔵型の肥満細胞腫と同時にみられることがあります
当院では、肥満細胞腫に対する手術、抗がん剤を行っています。お気軽にご相談ください。

担当獣医師

腫瘍科

佐々木 (ササキ)獣医腫瘍科認定医1種、JAHA内科認定医

腫瘍の治療は画一的なものではなく、同じ疾患であってもその子やご家族の状況によって、最適と考えられる治療方法は異なります。
何かお困りの事があればご相談ください。

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