以前、こちらのコラムで尿石症に関するお話をしました。
今回は膀胱結石が見つかり、手術によって結石を摘出した症例がいましたのでご紹介します。
少し復習になりますが、もう一度軽く膀胱結石についてお話しします。
膀胱結石とは、尿を貯めている膀胱内に石のような塊ができてしまう病気のことです。
結石の成分の多くはミネラルからなり、その構成によって結石の種類が分けられています。
例:ストラバイト結石(リン酸マグネシウムアンモニウム)、アンモニウム結石
シュウ酸カルシウム結石、尿酸結石など
こうした結石ができる原因は、多くの場合は体質や代謝異常に関係があるといわれています。
犬種によっては遺伝性のものもありますが、ほかの多くの犬猫では、結石の元となる結晶が体質的に尿中に作られやすいことが原因です。
結晶成分は顕微鏡をのぞかなければ見えないほどの小さなものですが、結晶がどんどん増えてしまうと目に見えるような塊となり、これを結石と呼びます。
尿中に作られるものなので、尿の通り道のどこで結石となるかによって病気の名称が変わりますが、膀胱内で結石となったものあるいは腎臓・尿管でできた結石が膀胱内に落ちてきたものを膀胱結石と呼びます。
さて膀胱結石ができると何が問題になるのでしょうか?
まず一つは、膀胱炎です。やわらかいゴム風船のような膀胱に硬い結石が存在すると、膀胱の内側を傷つけてしまい炎症が起こります。そこに感染がおこったり、出血したりすると頻尿や血尿といった症状を示すことがあります。膀胱炎の原因は結石だけではありませんが、結石が関与している可能性が高い場合は、抗生剤などのによる膀胱炎治療に合わせて結石に対する治療が必要になります。
また特にオス犬やオス猫で多い問題が尿道閉塞です。膀胱内の結石が尿道に詰まってしまうことで、排尿が出来なくなり、重症の場合では急性の腎不全を起こすこともあります。早く気が付き対処しなければ、亡くなってしまうこともある怖い病気です。
最も気が付きやすい症状としては、「トイレに何度も行く」「排尿姿勢が長いが、ほとんど尿が出ていない」といったものです。さらに「吐いている」「元気がない」といった症状が出る場合もあります。尿道閉塞が疑われる場合は、速やかに閉塞を解除し、尿を出してあげる必要があります。状態によっては数日の入院も検討する必要があります。
膀胱結石の診断には、レントゲンや超音波検査といった画像検査と尿検査が重要となります。画像検査で結石が疑わしい場合、大きさと結晶成分の種類によっては早めに外科手術によって摘出する必要があります。また尿検査や摘出した結石鑑定検査によって結晶成分を特定し、それらの結晶ができにくいように調合された食事療法をしっかりと継続することが重要です。食事に関しては一般的に市販されている食事ではコントロールができないため、獣医師に処方された療法食をしっかりと与えてくださいね。
写真は超音波検査で確認された膀胱内の結石とレントゲン上に写った結石、そして手術で摘出した結石です。




超音波では膀胱はきれいに黒く抜けた袋状に描出されます。しかしこの子の場合は白く光る結石が多数認められました。
レントゲンでは写真の右下の方に膀胱が見られるのですが、その中に白くつぶつぶとした結石がいくつか塊になっているのが確認できます。
実際に手術で膀胱から結石を取り出している様子です。
膀胱から摘出された結石は大小さまざまでこんなにたくさんありました。
こうした膀胱結石の予防と早期発見のためには、日ごろの健診や定期的な尿検査・超音波検査などを行うことが大切です。
気になる症状がある方は、お気軽に獣医師にご相談ください。
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