今回は帝王切開のお話です。
犬猫が妊娠をしていざ出産となった時、スムーズに生まれてくれると嬉しいですが、中には自然に分娩が出来なかったり陣痛が起こらなかったりと難産になる場合もあります。このように難産が元々予想される場合や結果的に難産になってしまった場合は、帝王切開で胎仔を取り出さなければなりません。帝王切開とは、手術により子宮を切開し胎児を取り出す方法です。
では難産とはどのような状況でしょうか。
母犬、母猫の体格が小さく、産子数が1-2頭と少ない場合は、子宮内で胎仔が大きく育ち、産道よりも成長することで難産になることが予測されます。
ただし具体的には、難産には以下のような判断基準があります。
・交配から70日以上経過している(犬猫の妊娠期間はおおよそ63~65日前後)
・体温が1-2℃以上低下してから1日たっても分娩が起こらない
・強い陣痛から30分以上経っても分娩が起こらない
・1匹出産してから次の胎仔を出産するまでの間隔が4時間以上あいている
・破水が起きて数時間経っても生まれてこない
・胎盤がはがれ、暗緑色の分泌物が排泄される
以上の項目のいずれかに当てはまる場合は難産と診断され、緊急的な処置または帝王切開が必要となります。
難産の状態で放っておけば、胎仔の生存のみならず母体への負担も大きくなるため、必ず病院へご連絡下さい。
写真は妊娠検査の際のレントゲン写真です。
妊娠猫のお腹に2頭の胎仔が確認されました。
帝王切開は、母体に麻酔をかける際の胎仔への影響を最低限に抑えるために、手術時間をなるべく短く、かつ最低限の麻酔で行います。
当院では経験豊富な麻酔医が患者様の状態に応じて麻酔薬を取捨選択し、母体、胎児に最低限の負担で手術が完了するように努めており、執刀医が迅速に手術が運べるよう、看護師さんと日々チームワークで取り組んでおります。
帝王切開は一秒一刻を争う手術であるため、緊迫感がありますが、何より命の誕生をお手伝いできるとてもやりがいのある手術でもあります。
母体と胎仔ともに元気に出産するためには、自然分娩なのか、または帝王切開が必要になるのか、事前にしっかりと相談していく必要があります。
愛犬・愛猫の出産をお考えの方はお気軽にご相談ください。
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