けいれん

【てんかん】犬と猫のてんかん、けいれん・・・ふるえ。

てんかんは、人だけでなく犬猫でも認められる一般的な神経疾患の一つです。

・てんかんの定義
てんかんは「24時間以上の間隔をあけて2回以上のてんかん発作が認められる脳の病気」とされています。そのため、初めての発作(初発発作)を見た飼い主様は大変不安を感じるかと思いますが、一回の発作では「てんかん」とはすぐに診断できません。
また、意識を失ってバタバタしてしまう症状が全て「てんかん」であるとは限りません。てんかん発作という言葉は、発作の原因が脳自体にある場合にのみ使用されます。低血糖や腎臓病、低酸素など体の他の臓器が原因で脳にダメージが出た場合の発作はてんかん発作とは呼びません(このような発作は反応性発作と呼ばれます)。
てんかんの中にも様々な分類がありますが、現在獣医療ではてんかん発作を以下の2タイプに分類しています。これはてんかんの起こる原因により大まかに分類され、患者さんの治療を決める上でどちらのタイプなのかを見分ける必要があります。
1) 特発性てんかん
MRI検査などの精密検査でも脳に明らかな異常が見つからないてんかん(脳波で脳の電気的機能を調べると異常が見つかる場合があります)。

 

 

 

 

2) 構造的てんかん
脳内に構造的病変があって起こるてんかん(脳腫瘍や脳炎などがMRI検査や脳脊髄液検査などでみつかったてんかん)。

 

 

 

 

・診断
てんかんの定義でも触れましたが、発作が生じた患者さんに対し、どういった検査を行いてんかんの診断を行っていくのかを簡単にご説明します。
獣医療において、てんかんの定義や診断は「国際獣医てんかん特別委員会(IVETF)」がガイドラインを定めているため、そちらに則った検査の実施が推奨されます。
①患者様が来院された際、まず発作の様子やきっかけ、発作時間・頻度などを詳しく伺います。
-発作にきっかけはあるのか、発作のタイプはどういったものかを伺うことで、診断とその後の治療に必要な情報をいただいています。発作の症状は多彩なため、お話だけでは本当にてんかん発作かどうかわかりにくい場合も多く、発作の起こり始めの症状を見逃してしまう場合もあります。発作時の症状をビデオに撮って獣医師に見せていただくと診断の助けになります。

 

 

 

 

②次に、発作が起こっていない状態で体に異常が出ていないかの検査を行います。
一般身体検査と尿検査および血液検査で、脳以外に発作を起こす原因がないか調べます。
-前述の反応性発作などを除外します。ここで異常が見つかった場合、異常の原因を突き詰めて治療を行うことが発作の治療につながる場合があります。
神経学的検査を行い、神経に異常が出ていないかを調べます
-構造的てんかんの場合、脳内の病変に応じて麻痺や失明、性格の変化など様々な神経障害が出る場合があります。また、特発性てんかんでも発作が長く続いた場合、脳にダメージが残り発作の後遺症が出る場合もあります。
わんちゃんの場合、ここまでの検査に大きな異常がなく、年齢が6ヶ月以上6歳以内の場合(脳腫瘍などの病気の可能性は低いので)ここまでの検査で特発性てんかんとして治療を開始する場合も多いです。神経学的検査に異常がある場合や、発作が起こった年齢が若すぎる/高齢である場合などは構造的てんかんの疑いが残りますので精密検査(④以降の検査)の実施をご提案させていただくことが多いです。猫ちゃんの場合、わんちゃんより構造的てんかんの罹患率が高いとの報告がありますので、個々の患者さんの状況に合わせて精密検査の実施を相談させていただきます。以下の検査は検査機器のある大学病院などで実施されています。
④MRI検査・脳脊髄液検査±脳波検査
-これらの検査は全身麻酔(脳波のみ鎮静)での検査となります。MRIでは脳の写真を撮り目に見える構造的異常がないか確認することができ、脳脊髄液検査では脳に炎症が起こっていないか確認することができます。脳波検査では脳の電気的活動を評価することができます(特発性てんかんでは脳波検査でのみ異常が出る場合があります)。

・治療
特発性てんかんおよび構造的てんかんのどちらの患者さんにおいても、てんかん発作の治療にはまず抗てんかん薬による内科的治療を実施します。抗てんかん薬はてんかんを治すお薬ではなく、飲んでいる間の発作を起きにくくするお薬です。そのため基本的にはお薬を生涯飲みながら発作と付き合っていく必要があります。抗てんかん薬にも種類があり、薬ごとに特徴が異なるだけでなく患者様により効き目も異なります。そのためご家族様と相談しながら患者様とご家族のライフスタイルに合わせてお薬の調整を行っていきます。近年では、獣医療でもてんかん治療の研究が進んでおり、お薬の効きにくいてんかん患者様に対して外科治療が研究され始めています。てんかんの治療に関してはまた別の機会にご説明できればと思います。
構造的てんかんの治療は、特発性てんかん同様に抗てんかん薬治療を実施するとともに、構造的病変に対する治療を実施します。治療の内容は病気の種類によって大きく異なります。

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担当獣医師

内科・脳神経科

浅田 (アサダ)獣医学博士

てんかんを中心とした神経疾患とその治療について研究をしました。現在も研究生として大学院および大学病院において研修を行っております。

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