乾燥

【コラーゲン不足】犬の脱毛、乾燥肌、痒み~コラーゲン不足はないですか?~

今回はコラーゲン不足の犬の症例をご紹介します。

コラーゲンというと、人でもお肌に良いということで積極的に摂取している方が多いのではないでしょうか?

しかし、コラーゲンが実際どういうものでどういった役割をしているかをご存じでない飼い主様もいらっしゃるかと思いますので、まずはコラーゲンがどんなもので、体の中でどんな役割をしてるのかをご説明していきます。

コラーゲンとは

コラーゲンとはたんぱく質の一種で、皮膚以外に、毛や血管、骨など体の様々な部分を構成しています。人では皮膚の70%がコラーゲンでできていると言われており、真皮のコラーゲンは皮膚が乾燥するのを防ぐ役割をしています。コラーゲンをとると肌がプルプルになると言われているのはそのためです。

また、コラーゲンにはたくさんの型があり、たとえば皮膚のコラーゲンと骨のコラーゲンとは別のコラーゲンが関与していると言われています。

ではそんな体にとって必要なコラーゲンが不足するとどうなってしまうのでしょうか?

今回は皮膚のコラーゲンが不足している犬に注目して、実際の症状と治療経過をご紹介していきます。

症例紹介

症例は1歳のトイプードルで、耳としっぽの脱毛を主訴に来院されました。

その際の実際の症状が以下の写真です。耳と尾が全体的に脱毛しているのがわかるかと思います。

皮膚検査では明らかな感染もなく、他の内分泌疾患などの可能性も否定的であり、耳の辺縁が黒くなってきていることから、コラーゲンと亜鉛不足が考えられることから、超低分子コラーゲンと合わせて亜鉛を処方することとしました。

亜鉛も発毛に関与する物質の一つで、たんぱく質を骨や筋肉、髪の毛などに変化させる働きを持ちますが、腸からの吸収が悪かったりすると不足してしまい、脱毛の原因となってしまうため、コラーゲンと一緒に処方することとしました。

コラーゲンや亜鉛の効果はすぐに出るものではないのですが、下の写真のように2か月後には特に尾は少し発毛して症状は改善されました。

耳に関しては、辺縁が黒っぽくなってきて、かさぶたのようなものが見えますが、これがコラーゲン不足の際の治療過程で見られる症状の特徴です。

症例は現在、耳のほとんどは発毛しており、尾に関してもさらにふさふさの毛が生えています。

このように、痒みがなく、他の脱毛する疾患も除外される場合には、コラーゲン不足が原因というのはよく見られ、特にトイプードルは毛が伸びるスピードが速いため、その分毛に使われるコラーゲンが多く不足しやすいと言われています。

今回の症例は耳と尾の脱毛でしたが、コラーゲン不足の症状は全身に現れる可能性があり、体幹の毛が薄かったり、伸びない、などの症状だけの場合もあります。

さらにトイプードルなどの小型犬でよくみられるコラーゲン不足の症状として、下の画像のようなお腹の縦じわがよく見られます。お家のわんちゃんにはこのようなしわは見られませんか?見られる場合にはコラーゲン不足が関与して、お腹の皮膚が乾燥しやすくなっている可能性が高いと考えられます。

このように、皮膚や毛に大きく関与しているコラーゲンですが、通常のコラーゲンを摂取するだけでは実は吸収率が良くなく、あまり発毛の効果が期待できません。そこで、当院では「超低分子コラーゲン」という、通常のコラーゲンよりも小さい分子量で吸収率が高いコラーゲンを処方することでコラーゲン不足を改善しています。

原因が分からない脱毛や、皮膚炎などが見られないのに毛が伸びない、などのお悩みをもつわんちゃんの飼い主様は一度当院にご相談ください。当院では皮膚科専門外来も実施しており、そのほかの難治性皮膚病にも対応させていただいております。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
HALU代官山動物病院
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担当獣医師

皮膚科

成田 (ナリタ, Narita)日本獣医皮膚科学会・皮膚科認定医

飼い主さまとのコミュニケーションを大事にし、日常生活における食事や習慣、スキンケアまでを一緒に考え、治療に取り組んでいきます。

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