歩けない

【肩関節脱臼】老犬、歩けなくなった~また歩けるようになるために~

皆さんは「関節脱臼」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
人では、激しく運動するスポーツ選手などに多いイメージがあるかと思います。
実は動物たちも同じく激しく運動したり、又は病気などが背景にあった場合に二次的に関節の脱臼が生じることがあります。

関節脱臼が生じると、足を上げた”ケンケン歩き”をしたり、足を動かそうとする時に生じる痛みで歩かなくなったり、又は大好きだったボール遊びをしなくなったりと様々な形で違和感、変化が出てきます。
治療には、①関節を外側から固定するバンデージ、②関節を身体の内側から固定する手術、③再び脱臼しないように装具(コルセット)を着用する、など様々なアプローチの方法があります。
特に今回ご紹介する装具は体格、関節の状態などを確認し、その子に合うように少しずつ調節して身体にフィットさせていくことが特徴になります。
今回は、関節脱臼によって歩くことが困難になってしまった動物に対して専用の装具を装着してまた歩けるように頑張っている症例を、そのリハビリの様子と共に、複数ご紹介します。

Ⅰ.右の肩関節亜脱臼

この症例は右前肢を挙げながら歩いていることから来院し、肩関節が亜脱臼していることが判明しました。
この時点ではバンデージ処置を施し、関節がズレないようにして経過観察となりました。
しかし、バンデージ処置は関節を固定してくれますが、同時に皮膚を抑えることにもなりますので、バンデージの下の皮膚が荒れることで、皮膚トラブルなどが生じたりもします。
この症例もバンデージ処置を長く続けていたせいか皮膚に赤みが出てきたこともあり、オーナー様と相談し装具装着を決めました。
装具を装着して、症例の子は地面に足をつけて歩く様子が見受けられました。
経過観察していたところ、装具装着によって肘が伸びて曲がりにくく、手先が身体の内側に向いていることが発覚し、このままでは筋肉が固まってしまう可能性があったので、同時にリハビリとして肩関節の周りをストレッチし、温熱療法を行うことになりました。

【リハビリ】
症例の子は、肘が伸びきって曲がりにくく、肩関節周りの筋肉が固まってしまう可能性があるとして、温熱療法、装具装着での歩行、肩関節が外側に外れてしまわないように抑えながらの屈伸運動を行いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リハビリをしている時の写真です。肘を上下に屈伸させ、肘、肩回りの筋肉を刺激しています(赤い丸は肘の部分です)
現在は装具の調整と、リハビリを継続している状態です。

Ⅱ.左の肩関節脱臼

左肩が脱臼して立つことが難しくなり来院された症例です。
専門医によって左側の肩関節脱臼と診断され、脱臼の背景に構造上の理由として肩関節不安定症、身体の体質上の理由として内分泌疾患の存在があるとされました。
ここから、内分泌疾患の治療を行い体調がある程度回復してきた段階から、装具の装着を始めました。
装着後しばらく経過観察を行うと、装具が身体にフィットしていないのか肢がうまく運べずに数歩しか歩けない状態でした。
このままでは、肩回りの筋肉がより固まってしまう可能性もあり、左前足に対する負重はなく他の3本足で身体を支えていて身体の重心の位置がズレている状態であったことから、温熱治療、装具装着のままの歩行訓練を行うことになりました。

【リハビリ】
症例の子は、脱臼している肩関節には体重をほとんど預けておらず、他3本の足で支えている状態でした。
脱臼した肩関節の神経を刺激し、身体の重心を再認識してもらう為に、温熱療法と装具装着での歩行を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

リハビリの様子を撮影したものです
現在は装具の微調整と、リハビリを継続しています

このように装具は関節脱臼の症例に限らず、様々な症例に活用されています。
また、装具と共にリハビリ等を取り入れ、ワンちゃんたちの身体に正常な動きをもう一度覚えてもらうことで、行動範囲やできることが今までより広がるようになります。
上記の症例が行ったリハビリ
装具に関してご質問などございましたらお気軽にご連絡ください。

 

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担当獣医師

リハビリテーション科

小笠原 (オガサワラ)C.C.R.P テネシー大学認定理学リハビリテーション療法士

日本における動物リハビリテーションの普及と同分野における理学療法士の活躍の場を広める活動に取り組んでいます。

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