血尿

【尿管結石】気づかれにくい猫の尿管結石! おしっこが赤い、きらきらしている、おしっこの時痛がる

今回ご紹介するのはねこちゃんの尿管結石についてです。

尿管結石とは?

尿管結石とは、尿の通り道である尿管に結石と呼ばれる石ができる病気です。

結石ができる場所によって腎臓結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石と名称が変わっていきます

尿管結石ができる原因

尿中には、体に余分なカルシウム、リン、マグネシウムなどの塩類のほか、体に不要な代謝産物などの老廃物が溶け込んでいます。

この尿中に溶け込んだ様々な物質がなんらかの理由で、水に溶けない状態になり石のように固まってできるのが結石です。

結石ができる原因には、食事内容や飲水量の低下、肥満、遺伝、体質、細菌感染などがあげられます。

ねこちゃんにできる尿管結石のうち、98%以上がシュウ酸カルシウム結石であるいわれており、

尿管結石ができやすい品種としては、スコティッシュフォールド、マンチカン、アメリカンショートヘア、ロシアンブルーなどがあげられます。

猫の尿管は内径0.4mm程度であり、犬よりも猫の方が細いことから小さな結石でも詰まりやすく、症状が重篤化しやすいといわれています。

症状

尿管結石ができて尿管の途中で詰まってしまうと、尿が膀胱へ排泄できず、腎臓に尿がたまってきてしまいます。(水腎症)

そうなると腎臓機能が低下し、腎不全の状態になることがあります。

症状としては元気や食欲がなくなったり、下痢や嘔吐をしたり、痛がったり、または尿が少なくなったりします。

しかし片方だけの閉塞の場合はあまり症状がでず、軽度の食欲の低下や軽度の血尿などが起こるのみで、気づかれづらいことが多いです。

治療法

尿管結石の治療法は、内科治療として点滴をして腎不全症状を緩和させたり尿量を増やして石を押し流す方法や、外科手術をして尿管結石を除去する方法があります。

手術の方法には、尿管を切開する方法と、尿管を切除して尿管同士を繋ぎ合わせたり、膀胱と縫い合わせる方法などがあります。

症例紹介

では実際の患者さんを紹介します。

今回はメスのマンチカンです。

食欲が落ちたとのことで来院され、検査をしたところ左の尿管に 1.5mmの結石がみつかり、尿管は拡張し、左の腎臓に尿が溜まって変形していることがわかりました。

    

幸い腎臓の血液検査数値に異常がなかったため、数日間入院点滴を行い石が動くかどうか観察しましたが、石が動かず腎臓の様子も変わらなかったので、手術をすることとなりました。

実際の手術時の写真です。

尿管をよく触って石を確認し、尿管を切開することで結石を除去しました。

除去した後はとても細い糸で尿管を縫合し、漏れがないことを確認して手術を終了しました。

今回取れた結石の写真です。

大きさはなんと1mm…!こんなに小さな石でも詰まってしまうのです。

術後のエコー検査の画像です。尿管の拡張はなく、腎臓も正常な形に戻っています。

尿管結石は除去できたら経過は良好ですが、結石ができるのは体質によるものが多いため、再発が非常に多い病気です。

実は今回の患者さんも尿管結石の手術を行ったのは今回で3回目でした。

結石形成の予防に大切なのは、食事管理と飲水量を多くすることです。

結石のできにくくなるような食事を食べてもらったり、ドライフードからウェットフードに切り替えたり、お水の場所を増やしたり、給水器を工夫してみたりといった方法があります。

冬場は特に飲水量が減ってしまいますので、十分注意していきたいですね。

もしも体調や尿の異常があれば、すぐに病院までご連絡ください。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
HALU代官山動物病院
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