今回は以前もご紹介したことのある、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)について、別の治療例をご紹介いたします。
おさらい
ケンネルコフとは咳を主な症状とする、伝染性の急性呼吸器疾患です。
多頭飼育しているような環境(ブリーダーや保護施設など)で流行しやすい病気です。
原因となる病原体としては、
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬アデノウイルス2型
- ボルデテラ菌
- 犬呼吸器コロナウイルス
- 犬ヘルペスウイルス1型
- 犬ニューモウイルス
- 犬インフルエンザウイルス
- マイコプラズマ
などが挙げられ、これらのうちのどれか、または複数の病原体の感染により起こります。
このうちワクチンで予防できるのは犬パラインフルエンザと犬アデノウイルス2型、ボルデテラ菌のみであり、ワクチンだけでケンネルコフを完全に予防することはできません。
初期症状は乾いた咳ですが、悪化、進行していくと湿ったような咳になったり、鼻汁、くしゃみ、めやに、発熱を伴うことがあります。
さらに気管支肺炎にまで進行すると、元気や食欲がなくなり呼吸困難に陥ることもあります。
症例紹介
今回ご紹介するのは2ヶ月の男の子です。
ブリーダーから引き受けた時から黄色い鼻汁と痰の絡んだような咳が目立ち、食欲と元気がなくなってしまったとのことで来院されました。
来院時は結膜の充血や浮腫、膿性のめやにもみられ、呼吸早く咳が止まらない状態でした。

レントゲン検査では肺がかなり白くなっており、非常に強い肺炎が見られたので、その日から入院治療を開始しました。
↑画像中央、心臓の周りが白くモヤモヤしています。
入院中は他のわんちゃんにうつらないように隔離入院とし、酸素室にて管理しました。
細菌感染も伴っていたため、複数種類の抗生物質の投与と、1日3回のネブライザー療法を行い、抗炎症治療、血栓予防の治療も同時に行いました。
入院3日目から症状は改善し、酸素室から出ることができました。
入院中4日目には鼻汁は出るものの、その色は無色透明に変わり、炎症の数値も正常に戻っていきました。
血液検査も正常範囲に戻り、症状もほぼなくなったことから、入院から6日目で退院することができました。
ですがまだ鼻汁が出て、肺の白さが残っていたため、そこから4日間ネブライザー通院にきてもらいました。
初診時から2週間で完全に症状は無くなり、治療終了としました。

↑モヤモヤしていたところがすっきりし、心臓の形がはっきりと見えます。
ケンネルコフの症状は重いものから軽いものまで様々ですが、わんちゃんを迎えたときに咳やくしゃみをしているようであれば、すぐに病院までご連絡ください。
また、他のわんちゃんがいる場合もうつってしまうことがあるため、注意しましょう。
よくある質問
Q.ケンネルコフは人や他の動物にも感染しますか?
A.ケンネルコフの原因となる主な病原体は、犬間で感染しますが、人や猫など他の動物にうつることはほとんどありません。
Q.ケンネルコフにかかった場合、家庭でどのようなケアが必要ですか?
A.安静を第一にし、乾燥を避けて加湿を心がけることが大切です。
刺激の少ない環境で過ごさせ、首輪や激しい運動は控えてください。
また、多頭飼いの場合は他の犬との接触もできる限り避けましょう。
症状が悪化したり、呼吸が苦しそうな場合は早めに動物病院へご相談ください。
Q.ケンネルコフの再発や後遺症はありますか?
A.多くの場合、適切な治療を受ければ完治し、後遺症を残すことはほとんどありません。
ただし、子犬や高齢犬、基礎疾患がある場合は肺炎などに進行し、まれに慢性的な咳が残ることもあります。
再発を防ぐためにも、普段からワクチン接種や衛生管理に注意しましょう。
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