去勢手術・避妊手術

【犬の乳歯】~生後6ヶ月過ぎたらチェックしていただきい陰睾丸と乳歯遺残のこと~

今回は生後6ヶ月過ぎのわんちゃんでチェックしていただきたい体のチェック部分についてお話します!

今回の身体チェックでは乳歯が残ってしまう乳歯遺残について、また男の子のわんちゃんでの陰睾丸(停留睾丸)についてチェックしていきます。

陰睾丸について

まず初めに“ 陰睾丸”についてです。
男の子のわんちゃんでは生後1ヶ月頃を過ぎると徐々に精巣がお腹の中から陰のう内へ降りていきます。

ここで!!
わんちゃんでは生後6ヶ月を過ぎて体が十分に成長すると動物病院で避妊手術や去勢手術をおすすめされることがあります。
わんちゃんの病気で唯一、男の子は去勢手術、女の子は避妊手術を行うことで予防できる病気があることを知っていますか?

♀:女の子のわんちゃんの場合

生後6ヶ月を過ぎてくると、徐々に発情期を迎え、妊娠ができる体へとなっていきます。
6ヶ月を過ぎて体が成長し、発情を迎える前に避妊手術をすることで乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの病気の発症のリスクを減らすことができます。
※わんちゃんの乳腺腫瘍は50%が悪性、猫ちゃんの乳腺腫瘍の場合では90%が悪性と言われています。

♂:男の子のわんちゃんの場合

女の子と同じように去勢手術をすることで、前立腺腫大や精巣腫瘍、肛門周囲腺腫などの病気の発症のリスクを減らすことができます。

男の子では・・・
元々生まれた時には腹腔内にある睾丸(精巣)が成長とともに腹腔内から精巣の入る袋(陰嚢)におりていきます。
わんちゃんによっては時間が経っても精巣が降りていかないで腹腔内や鼠径部にとどまっていることがあり、外見上ひとつの睾丸しか見られなかったり、あるいは2つとも確認できない場合があります。
このように精巣がお腹の中にとどまってしまう状態を【停留睾丸(陰睾丸)】と言います。

左の停留睾丸では睾丸が萎縮しています。

☆停留睾丸

停留睾丸には、皮下陰睾丸(皮膚の下に精巣が存在)または、腹腔内陰睾丸(腹腔内に精巣が存在)などがあります。
腹腔内の陰睾丸では、触診では確認が難しくエコー下での確認または、エコー下でも確認が困難な場合があります。

本来精子の形成には体温よりも低い環境にある必要がある精巣が陰のう内に降りず、腹腔内や鼠径部にとどまってしまうことで、時間とともに腫瘍化する可能性が高くなると言われています。

※ 通常、陰嚢内に降りてくる精巣がお腹の中にとどまっている場合、お腹の中にとどまっていても性ホルモンの分泌は行われるため、陰嚢の中にある精巣よりも約10倍以上の確率で腫瘍化しやすいとわかってます。

10歳♂のトイプードルのエコー画像です。
両側陰睾丸が確認でき、下のエコー画像(右側陰睾)では上のエコー画像(左側陰睾)よりも精巣が腫瘍化し大きくなっています。

〇どのくらいの年齢まで精巣が降りてこなかったら手術をした方が良いか?

遅くても生後8ヶ月までに精巣が降りていないようであれば、その後も降りる可能性が低いと考えられますので将来のためにも去勢手術を行うことをおすすめします。

続いては、〝乳歯遺残“ についてです!

乳歯遺残とは?

乳歯は生後20日頃から生えだし、生後2ヶ月頃には生え揃います。
また、生後3ヶ月頃から乳歯が抜け始め、生後7ヶ月頃には抜け終わり永久歯が生え揃います。
永久歯が生えているにもかかわらず乳歯が残ってしまう状態のことを【乳歯遺残】と言います。

乳歯が残り、二重歯になっている様子

〇乳歯遺残は何が問題なのか…

  • 不正咬合(噛み合わせが悪くなってしまう)
  • 歯周病のリスクが高まる

近年小型のわんちゃんの人気が高く、お口がとても小さい子が多いため乳歯が残っている子が多く見受けられます。
乳歯遺残では歯が通常より多く残ってしまうため、歯と歯が密に生えることで歯の間に歯垢や歯石がが溜まりやすくなり歯周病のリスクが高まります。

8ヶ月たっていても残ってしまった乳歯は基本的には時間の経過で抜けるのは難しく、また、成犬へと成長してから乳歯を抜いても歯並びが正常な位置に戻るのはむずかしいため、避妊去勢手術での麻酔をかけるタイミングで一緒に抜いてしまうのがベストです!

飼い主様には以上のことをチェックしていただき、少しでも不安がございましたら、動物病院へご相談いただければと思います。

当院でも多くの陰睾丸や乳歯遺残のわんちゃんの手術を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
HALU代官山動物病院
03-6712-7299
info@halu.vet

担当獣医師

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

循環器科・内科・軟部外科

湯沢 (ユザワ, Yuzawa)

動物は、家族にとってかけがえのない存在です。 愛おしくもたくましい彼らの人生が、長く幸せで楽しい時間であるためのサポートをすること!をモットーにしています。

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