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【マラセチア】犬のマラセチア外耳炎 皮膚炎

皆様こんにちは。寒暖差が激しい時期ですがワンちゃん猫ちゃんはお元気におすごしでしょうか。皆様は『マラセチア』という菌をご存じでしょうか。今回はマラセチアによる外耳炎と皮膚炎についてお話いたします。

 

『マラセチア』とは、酵母菌という真菌の一種で、発育、増殖するために脂質を必要とします。動物の皮膚や口、外耳道、指間、肛門周辺の表面に常在し、普段はひっそりと生息していますが、何らかの原因で皮膚の状態が悪くなったり、皮脂の分泌が過剰になったりすると、過剰に増殖し、炎症や痒みを引き起こします。ネコちゃんでは少ない皮膚病でワンちゃんに多く見られます。

 

◎主な症状

主に皮膚炎と外耳炎を起こします。皮膚では、口唇や鼻、脇の下、指間、内股、肛門周辺部に炎症が起こります。赤み、痒み、脂漏、フケ、独特に臭気があります。長引くと、皮膚が黒っぽく色素沈着したり、角化が進んで皮膚が硬くなったり脱毛したりします。外耳炎の場合、焦げ茶色~黒色の特徴的な臭いのあるねっとりとした耳垢がたまり、耳を痒がります。

 

◎主な原因

Ο皮脂や耳の分泌物量が増える

Ο皮膚の湿度が上がる

Ο皮膚を過剰に舐めたり、掻き壊したりして皮膚の状態が悪くなる。

 

季節にも関係しますが、夏や梅雨のジメジメした湿度の高い時期に発症しやすくなります。垂れ耳、耳の中に毛が密集しているような常に耳の中がジメジメしている状態ワンちゃんもマラセチアによる外耳炎が多いです。なりやすい犬種は、シーズーが圧倒的に多く、バセットハウンド、コッカースパニエル、パグ、ウエスティー、ゴールデンリトリバー、プードル、ダックスフント、ボクサーなどに見られることが多いです。基礎疾患として、アトピー、食物アレルギー、脂漏症、甲状腺低下症などの内分泌疾患、腫瘍などがあるワンちゃんはマラセチア症がおりやすいといわれています。

 

◎治療法

洗浄によってマラセチアを物理的に除去することが主になります。

皮膚炎ではマラセチアに効果のある薬剤入りのシャンプーを使用します。 シャンプーは週1~3回必要で、最後にしっかり保湿剤を塗布します。マラセチアに湿度は大敵ですのでシャンプー後はしっかりと乾かしましょう。 外耳炎は、薬用クリーナーで定期的に外耳道を洗浄します。 基礎疾患のある犬はマラセチアの治療をしただけでは改善しませんので基礎疾患の治療が基本になります。基礎疾患の治療をせずにマラセチアだけの治療をすると、一時的には良くなりますが、すぐに再発してしまうケースが多く継続したケアが必要となります。

◎最後に

皮膚や外耳炎の症状が重度であったり、広範囲に及んでいるときは薬の塗布、抗生剤、抗真菌剤が必要になりますので自己判断せず、必ず動物病院で検査してもらいましょう。また、日々の観察、ケアである程度防げる病気でもあります。マラセチアが増殖しやすい環境を作らないようにしてあげてください。

 

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)

HALU動物病院

03-6712-7299

担当獣医師

皮膚科

成田 (ナリタ)日本獣医皮膚科学会・皮膚科認定医

飼い主さまとのコミュニケーションを大事にし、日常生活における食事や習慣、スキンケアまでを一緒に考え、治療に取り組んでいきます。

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