今回は当院でのケンネルコフの入院治療をご紹介いたします。
犬、女の子、3か月齢、先日ブリーダーから迎え入れたばかり
ご自宅で頻繁に咳をしているとの主訴でご来院されました。
触診で気管支を刺激すると咳が出てしまい炎症が疑われました。
レントゲン上で気管支パターン(気管支で炎症が起き、気管支壁が厚くなっている状態)が見られ、血液検査では炎症を示す数値CRPが基準値を超えていました。
同居犬がいるため、入院でしっかり治したいというのがご家族のご希望でした。
入院中、当院では1日3回のネブライザー治療(気管支拡張剤などを含む液剤を霧化する医療機器を導入し、気管支へ直接アプローチする治療法)、抗生物質・鎮咳薬の投薬を2週間続け、カフテスト陰性、平時でもほとんど咳が出ない状態にまで改善しました。
レントゲン上でも、気管支パターンの改善が見られました。
ケンネルコフは犬伝染性気管気管支炎とも呼ばれる感染性疾患群です。
原因はさまざまなウイルス(主に犬アデノウイルス2型、犬パラインフルエンザウイルス、犬ヘルペスウイルス、レオウイルスなど)・細菌(ボルデテラ・ブロンチセプティカ)・マイコプラズマが単独もしくは複数感染することから始まります。伝染力が極めて強く、犬から犬へ容易に伝播します。混合ワクチンに、原因病原体のいくつかを予防する効果が含まれる場合もありますが、ワクチン接種よりも以前に感染したり、ワクチンを打っても完全に防除できるわけではないこともあり、仔犬でくしゃみ・咳が止まらないというご相談は少なくありません。
ケンネルコフはぶり返すことが多く、油断のできない疾患です。特に、同居犬がいる場合は、新たに感染してしまう危険もありますので、症状が重たい場合は入院での治療をお勧めしています。咳でお悩みの仔犬さんがいらっしゃる場合、お早めにご相談ください。
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