お腹のしこり

猫のリンパ腫とは?|嘔吐や血便の原因と抗がん剤治療の実例紹介

今回は猫のリンパ腫の診断から治療までについてご紹介します。

リンパ腫とは猫で発生頻度の高い悪性腫瘍で、消化管や鼻、腎臓、皮膚、神経など様々なところに発生します。
猫白血病ウイルスに感染していると罹患率が高くなると言われています。

今回ご紹介する子は、1カ月血便と下痢が続いていると来院されました。
お腹の中に大きく固いできものが触れました。

超音波検査をみてみると、結腸(大腸の一部)とその近くのリンパ節に腫瘤が確認されました。
その腫瘤のせいで腸の中は細くなり、便がでにくくなっていました。

結腸腫瘤のエコー画像

結腸壁

リンパ節腫大のエコー画像

リンパ節

そのできものが何なのか調べるために細胞診検査という細い針を使ってどんな細胞がとれるか調べる検査を行いました。
その結果、消化器型のリンパ腫であることがわかりました。

リンパ腫は通常抗がん剤が比較的よく効くタイプの悪性腫瘍です。
この子の場合は、一番効果が高いと言われている多剤併用療法(CHOP)で抗がん剤を実施しています。
毎週抗がん剤を投与していますが、大きな副作用もなく元気によく食べてくれています。
現在腫瘍は完全にはなくなってはいませんが、以前より小さくなった状態を保ってくれています。

腫瘤が縮小した結腸壁のエコー画像

結腸壁

縮小したリンパ節のエコー画像

リンパ節

リンパ腫の対する抗がん剤治療には注射や飲み薬、毎週行うものや数週間に一度行うものなど様々な選択肢があります。
その子の性格や生活スタイルに合わせた治療をご相談しながら一番合った方法を決めていければと思います。
もし、抗がん剤をお考えの方や腫瘍でお困りの方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください。

よくある質問

Q.猫のリンパ腫の初期症状にはどのようなものがありますか?

A.リンパ腫の初期症状は発生部位により異なりますが、食欲不振、体重減少などの全身症状が見られることが多いです。
消化器型では嘔吐や下痢、鼻腔型では鼻水やくしゃみ、皮膚型では皮膚のしこりや潰瘍が現れます。
早期発見のため、これらの症状が続く場合は動物病院での検査をおすすめします。

Q.リンパ腫と診断された場合、猫の余命はどの程度でしょうか? 

A.猫のリンパ腫の予後は腫瘍の種類、病期、治療方法により大きく異なります。
抗がん剤治療を行った場合、消化器型では平均1-2年程度の生存期間が期待できることが多いです。
ただし、個体差が大きく、数ヶ月から数年と幅があります。
治療を行わない場合は数週間から数ヶ月程度となることが一般的です。

Q.リンパ腫の猫を飼う際、日常生活で注意すべき点はありますか? 

A.抗がん剤治療中は免疫力が低下するため、感染症予防が重要です。
他の猫との接触を制限し、清潔な環境を保ちましょう。
また、定期的な体重測定、食欲や排泄の観察を行い、異常があれば早めに受診してください。

渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
HALU代官山動物病院
03-6712-7299
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担当獣医師

腫瘍科

佐々木 (ササキ, Sasaki)獣医腫瘍科認定医1種、JAHA内科認定医

腫瘍の治療は画一的なものではなく、同じ疾患であってもその子やご家族の状況によって、最適と考えられる治療方法は異なります。
何かお困りの事があればご相談ください。

内科・循環器科・軟部外科

游 (ユウ, Yu)HALU代官山動物病院 院長

English/Chinese Speaking Veterinarian
「たとえ病気になったとしてもその中で一番幸せに暮らせるように」
患者さん、家族、獣医師間の密なコミュニケーションを大切にしています。

内科・眼科

宮本 (ミヤモト, Miyamoto)

English Speaking Veterinarian
動物たちからたくさんのことを感じ取り、からだへの負担をできる限り少なくすること、ご家族さまとのコミュニケーションの中で治療方針をご一緒に考えていくことを大切にしています。

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