毎年春になると、フィラリアの予防のお知らせや予防接種のお知らせが届く方も多いかと思います。その中の一つに狂犬病予防接種が含まれています。
愛犬を家にお迎えした時にも、「一年に一度の狂犬病予防接種が飼い主には義務付けされている」と案内があるかと思います。
いったいどんな病気を予防するものなのか。また、その重要性などについて紹介いたします。
狂犬病と予防接種の義務
狂犬病はウイルスを持つ動物の唾液が傷口や粘膜などに接触して感染がおこります。イヌ、アライグマ、スカンク、キツネ、ネコなどが知られていますが、全ての哺乳類に感染の可能性があります。アジアではその感染源のほとんどがイヌです。
そのため、「イヌに噛まれるとかかる病気」として知られています。
ウイルスは末端から脳に到達し、発症すると発熱、頭痛、倦怠感などの症状がおき、脳炎に発展し、幻覚、錯乱、興奮状態になります。
狂犬病の特徴的な症状として、水を飲もうとすると喉に痛みを伴う痙攣がおき水を怖がるようになります。
ウイルス感染から発症までは30日から90日と言われており、発症してしまった場合は死亡率100%です。世界では毎年5万人以上の死者が出ています。
狂犬病予防接種と日本
1950年に制定された狂犬病予防接種法により犬の飼い主には年に1回の予防接種が義務付けられています。予防接種や野良犬の駆除により日本における狂犬病は撲滅され、日本は狂犬病清浄国(狂犬病のない国)とされています。
WHOの定めている規定において、狂犬病の蔓延を防ぐには70%以上の狂犬病注射の接種率が必要といわれています。
ところが、近年、狂犬病予防法が施行された頃に100%だった接種率は2020年には70%にまで下がっていると報道がありました。
「完全室内飼いの犬で外に出る機会が少ない、他の犬や飼い主以外の人間と接触する機会が少ないから」といった理由や「毎年打つ必要がない」と考えている意見を目にすることが多いです。
はたして、狂犬病予防接種は個人の判断や理由から見送ってもいいものなのでしょうか?
ワクチンを打つ重要性
狂犬病予防接種を受けていない実際の事件
今年に入り、群馬県で起きた飼い犬が逃走してしまい、子供を含めて12人を噛んでしまったという事件が起きています。その事件の犬が狂犬病を打っていなかったということでも、狂犬病予防接種が話題にあがりました。
その事件では、傷害の他にも狂犬病予防接種法違反の疑いとして書類送検されています。
もし噛まれたのが自分だったら、逃走してしまったのが自分の飼い犬ならばどうでしょうか?
日本は狂犬病がない国だと言われていても、逃走の際に何らかの形でウイルス感染のある野生生物と接触している可能性が絶対ないとは言い切れません。予防接種を行っていれば否定できる、発症後致死率100%の病気・狂犬病。それでも狂犬病予防接種が必要ないと思えるでしょうか。
予防接種を行うことは、飼い犬を守り、そして周りにすむ住人の安全を守る行為でもあります。
病院からの案内
自分の飼い犬が噛んでしまった時
散歩中に飼い犬同士が喧嘩をして怪我をしてしまった、すれ違った人に、飼い犬が噛みついてしまったなど日常にありうるトラブルです。
万が一飼い犬が誰かを噛んでしまった場合、事故の発生を届け出る義務があります。(※)
また、自分が被害を受けてしまった時は必ず狂犬病予防の有無の確認をしてください。
(※届の提出様式はお住まいの地区によって異なります。)
飼い犬の持病や体調面から狂犬病予防接種を悩んでいる方
おひとりで悩まずに、ぜひ当院にご相談ください。
その子に合わせて予防接種のスケジュールのご相談をさせていただきます。
渋谷、恵比寿、代官山の動物病院(年中無休、年末年始も診察している動物病院)
HALU代官山動物病院
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